腰痛 〜東洋医学の視点から〜 その2

query_builder 2022/10/30
東洋医学
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「腰」という漢字と、“腎の府”という考え方


前回は、主に

"東洋医学と西洋医学の「見方の違い」"

について綴りました。


(前回投稿はこちら→ 腰痛 〜東洋医学の視点から〜 )



今回は、東洋医学における

"「腰」の位置づけ" について、

少し掘り下げてみたいと思います。


「腰」という漢字に込められた意味

まずは「腰」という漢字から。

分解してみると、

『月』+『要』 でできています。


『月』は部首として「にくづき」と読み、

腰・腹・脇・脚…など、

“身体の一部”を表す漢字によく使われます。


『要』は“かなめ・大事なところ”という意味。


つまり、「月」+「要」= 身体の要(かなめ)


まさに、腰は身体における“要”そのものとして捉えられているわけです。


腰がダメになると、動くこと自体が本当に大変になりますよね…。


こういうところに、昔の中国の人たちの観察眼やセンスを感じます。


【「腰は腎の府」──東洋医学における“腎”とは?】

この身体の要である腰について、

東洋医学では「腰は腎の府」といわれています。


ここでいう「府」という漢字も、少し面白くて、

もともとは役所・おおもとの機関・本部といった意味があり、


  • 「物ごとの中心になる場所」
  • 「何かが集まり、おさまるところ」


というニュアンスを持っています。


ですので「腰は腎の府」とは、

「腰は、腎の働きがあらわれる拠点・本部のような場所ですよ」というイメージで捉えていただくと分かりやすいかもしれません。

※よく出てくる「五臓六腑」の腑(ふ)とは、

「胃・大腸・小腸・膀胱…」といった“中空の臓器”を指す別の漢字です。

ここでの「府」は、それとは違って“腎の働きが集まりやすい場所”という比喩的な表現だと考えてください。


つまり、腎(じん)の蔵と腰はとても深く関係しているという考え方です。


ここでいう「腎の蔵」は、

西洋医学でいう腎臓(Kidney)とは意味合いが違います


誤解を生まないために、少し整理しておきます。

(腰痛そのものの話は、まだもう少し先になりそうですが…笑)


【「腎=Kidney」と訳された歴史的な背景】

東洋医学の歴史は2,000〜3,000年クラスと非常に古く、日本でも、もともとは東洋医学が医療の中心でした。


そこへ江戸末期、蘭学(西洋医学)が流入します。


有名な杉田玄白の『解体新書』が編まれた際、

西洋医学の臓器名を翻訳するときに、


Liver → 肝の蔵

Kidney → 腎の蔵


といった具合に、すでに東洋医学で使われていた臓腑の名前を、東洋医学的な概念・思想を置き去りにして、そのまま当てはめてしまった歴史があります。


その結果、東洋医学の「肝」「腎」という概念と、

西洋医学の「肝臓」「腎臓(Liver / Kidney)」の概念がごちゃ混ぜになり、今日まで続く齟齬(食い違い)が生まれてしまったわけですね。


【東洋医学の「腎」は、もっと広い概念】

西洋医学でいう Kidney(腎臓)は、


  • 血液をろ過して老廃物や余分な水分を尿として排出する
  • 血圧調整を助ける
  • ビタミンDを活性化する
  • 造血ホルモン「エリスロポエチン」を分泌する


といった働きがある、とされています。


一方、東洋医学の「腎の蔵」は、もっと広い概念です。


「腰は腎の府」と言うように、


  • 腰との関係が深い
  • 泌尿器系だけでなく、生殖器を含む骨盤内臓器全般に関わる

さらに、


  • 骨盤内臓器+腰=下半身全体を主る(つかさどる)と考える


ざっくり言えば、


“腎”=下半身の要所+生命エネルギーのタンク


といったイメージに近いかもしれません。



【「精」をたくわえる蔵としての腎】

東洋医学の「腎の蔵」には、

気や血が凝縮された「精(せい)」が蓄えられている、

と考えられます。


この「精」は、


「両親から受け継いだ先天的なエネルギーであり、普段の飲食から得られる後天的なエネルギーによって補われながらできるだけ枯渇しないように保たれている」


というイメージです。


この「精エネルギー」は、

だいたい20歳前後でピークを迎え、そこから少しずつ衰えていく、とされています。

だから――


年齢を重ねる

自然と「腎の蔵」が弱る

足腰が弱くなりやすい


という流れが生まれてくるわけです。


もちろん、すべての腰痛・腰の疾患が

「腎の弱り」だけで説明できるわけではありません。


ここまで書いたのは、

あくまで「東洋医学の腎」と「腰」の関係の一例です。


そのうえで、次回は

「腎」と老化現象・関節痛のつながりについて、

もう少し具体的に見ていきます。

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鍼灸 縁庵

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