血(けつ)〜東洋医学の視点で視る血液〜

query_builder 2023/05/31
茨木_鍼灸東洋医学
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先日は気の概念、考え方について綴りました。

そこでも話しましたが、

東洋医学では、人体は

①気 ②血 ③津液(しんえき)

の3つの要素で構成されていると考えます。

今回は『血』について

書いていこうと思います。


因みに東洋医学では『血(けつ)』と呼びます。


津液というものは血液以外の身体の水分のことを示します。

組織液であったり、関節液であったり…

涙、鼻水、涎(よだれ)なんかも津液の範疇に含まれます。


要するに、

血か、血以外か!!


あの某ホスト界のカリスマみたいですね。

「俺か、俺以外か」的な。笑



『気・血・水(きけつすい)』という言葉なら

聞いたことがあるかたはいるのではないでしょうか?


これは漢方医学の言い方で、

津液のことを幅広い概念で”水”という言い方をします。


さらに、この気・血・津液を陰陽で表すと…


気が陽であり、血・津液は陰になります。


陰陽…わかりますか?


陰=静的なもの。月、女性、冬、地…など。


陽=動的なもの。太陽、男性、夏、天…など。


陰と陽は調和していて、

どちらかが欠けることなく常に表裏の関係を保っています。


…詳しく説明したら陰陽の話だけで終わるので今回は端折ります。笑



血や津液などの液体は陰であり、静的ではありますが

エネルギーとして動的な気の働きを受けるために

循環することができるわけですね。


これも陰陽がお互い欠けることなく保っていることを象徴しますよね。


この陰陽関係が崩れてくると、気が滞ったり、血が滞ったり…

ある器官の栄養不足になったり、或いは過多になったり…

西洋医学で言う血液がドロドロの状態というやつになったりと、

様々な身体の不調を来すわけです。


前置きはここまでで、では血について詳しくいきたいとおもいます。



【血の発生・働き】

さて、では血はどのように作成されて、

どのような働きをするのでしょうか?


気の生成については以前の記事を参考にいてください。

気とはなにか?〜東洋医学の概念と鍼灸の役目〜


血は胸中に集められた水穀の精微(後天の精)が

心の臓の陽気で温められて血へと化成します。

それが心の臓の拍出力、

気の推動作用の影響を受けて全身へと散布します。


これだけでなくもう一つ、血を生成するルートがあります。


腎の臓で、

腎精(先天の精=根本エネルギーの源と思っていただけてOKです)が

命門の火(腎の臓の陽気)に温められて血へと変化します。


このように精は血へと変化し、

ときには血は精へと変化することもあります。

これを『精血同源』といいます。


つまり、水穀の精微を生成するのに脾の臓が大きく関与するし、

先天の精を溜め込んでいるのは腎の臓であり

血を温めるのには心の臓と腎の臓が関与しますので、

血の生成に大きく関与する臓は脾・心・腎の3つの臓になります。


血は脈中を巡り、臓腑のみならず、

関節や筋肉、肌肉、その他の様々な器官を濡養(≒潤す)し、

正常に機能が働いていれば肌は艷やか弾力があり、

目は潤いが有り、四肢はしっかりと力が入るようになります。


さらに、血は精神活動にも関与しており、

精神活動の安定には血脈の調和が不可欠です。


何らかの原因で脈外に漏れ出てしまった血は『離経の血』と言われ、

血の正常な機能を果たせないばかりか、

『瘀血(おけつ)』という病理産物が形成されます。


脈中から漏れ出さず、滞りなく流れるように

調整するのに大きく関与するのは心・脾・肝です。

心気の力強い推動作用(心のポンプ作用)や、脾の統血作用、

肝の蔵血作用によって全身の血量が適当に調節され、

気血の陰陽バランスを保っています。


西洋医学の目線で言えば、

心臓(Heart)や肝臓(Liver)が血液と関与することはわかりますが、

腎臓(Kidney)や脾臓(Spleen)が血液と関与する、

となりませんが東洋医学では深い関係性があると考えます。


だって…先天の精(そもそもの元気・エネルギー)や

後天の精(飲食物から得た元気・エネルギー)がないと…

血液作れませんもんね。笑



【瘀血について】

瘀血は”滞っている血”を、病理産物そのものを示す名称ですが、

”血が滞っている状態”を示すのは血瘀(けつお)という言い方をします。


少しややこしいですが…


瘀血=病理産物を示す

血瘀=瘀血が存在する状態

です。


先程、離経の血が瘀血という病理産物を形成する、と言いました。

血脈から血が漏れ出るのには様々な要因があります。


交通事故などで大出血、骨折や肉離れ、打撲や切り傷などなど…


普通に出血する、以外にも内出血もその範疇に含まれることがあります。


脈から漏れる以外にも瘀血を形成する要因は他にもあります。


・気が滞ることで、

 血の巡りも悪くなり瘀血が発生するパターン〈気滞血瘀〉


・血が不足するが故に血流が悪くなり

 瘀血が形成されるパターン〈血虚血瘀〉


・寒邪に中(あた)られ、

 寒邪の凝縮作用により瘀血が形成されるパターン〈寒凝血瘀〉


などなど…。



そして瘀血は様々な症状の引き金になります。


強い痛みの関節痛(腰痛、五十肩)や、古傷が痛む、

坐骨神経痛や腰椎ヘルニアなども可能性としては在り得ます。


女性であれば

PMSや月経痛、月経の期間がバラつく、不正出血などなど。

慢性化してくれば子宮筋腫やチョコレート嚢腫なども

引き起こす場合があります。

不妊につながることも。


そして、瘀血型の症状には特徴もあります。


痛み方は「刺ような激しい痛み」とよく比喩され、

夜間時痛があるのも特徴の一つです。

また瘀血体質の人は、皮膚がすすけて黒っぽく見えたり、

色素沈着が起こりやすかったりもします。


全部が全部そうとは限りませんがね。

人間の発する症状は大概は色々な要因が複雑に絡み合って、

その比重によって発現の仕方が変わってきますので…


ただ、上記のような特徴が見られる場合は

瘀血が関与している可能性が高い、ということです。



このように…

外傷や挫傷などが発生すると瘀血が形成され、

それが上手く取れてくれたら良いのですが…

残ってしまうと後々に身体に不調を起こすことも有り得る話なので、

ケガをしてしまった場合は放置せずに病院で適切な処置を受けて頂き、

(うちでは骨折や挫傷の固定や、大量出血を止める救急な処置は出来ませんので。笑)


それだけではダメな場合も多いですので、

リハビリをしながらも鍼灸を頼っていただきたいと思います。


ケガの治りも早くなるお手伝いができると思いますし、

何より予後が圧倒的に良いと思います。


ケース・バイ・ケースですね。


頭でっかちにならず、私は西洋医学、東洋医学の良いトコロを

見極めて利用していただきたいと思いますm(_ _)m


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鍼灸 縁庵

住所:大阪府茨木市永代町6-19 近藤ビル402

電話番号:090-3890-4915

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