花粉症の東洋医学的見解 鍼灸は効くのか?

query_builder 2025/03/12
茨木_鍼灸東洋医学体質改善
花粉症でくしゃみをする女の子 可愛らしいアニメ風

この季節がやってきましたね…。

既に鼻をズルズルいわせたり、

目の擦りながら来院される方も増えてきております。


そう、『花粉症』。

今はスギ花粉ですね。

三寒四温(さんかんしおん)気味になり、

春らしい気候も出てきたここ最近、

もう俳句の季語になるであろう花粉症は

鍼灸施術で効果を示してくれることが多いです。

(しかし私的には伝えた養生をしっかり守ってくれないとやはり難しいと考えています)


以前ももしかしたら記事にしているかもしれませんが…

まぁ覚えていないので何度でも綴りたいと思います。笑

(こうして毎年増えていくような気もするが…)


【そもそも花粉症とは?】

花粉症(アレルギー性鼻炎)は、

免疫系が本来無害な花粉を異物と誤認し、

過剰な免疫反応を引き起こすことで発症します。


この反応の中心となるのは

IgE抗体(免疫グロブリンE抗体)で、

以下のようなメカニズムで症状が現れます。

※IgE抗体は体外から侵入した異物(アレルゲン)に結合して、

その後の生体反応(くしゃみや鼻汁、かゆみなど)を介して

異物を体外に排出し、体を守る役割を担っています。


  1. 感作(初回暴露)
    • 花粉が体内に侵入すると、B細胞がIgE抗体を産生。
    • IgE抗体がマスト細胞(肥満細胞)の表面に結合し、準備状態になる。
  2. アレルギー反応(再暴露)
    • 再び花粉が侵入すると、マスト細胞が活性化されヒスタミンなどの化学物質を放出。
    • これが鼻水・くしゃみ・目のかゆみなどの症状を引き起こす。

現代医学的にはこのようなメカニズムで発生している、

と考えます。


治療法としては主に薬物療法が

第一選択になるかと思います。

  • 内服薬

    抗ヒスタミン薬(H1受容体拮抗薬)

    上記のとおりマスト細胞より放出されるヒスタミンの作用を抑え、
    くしゃみ・鼻水・目のかゆみを軽減する。

    ロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRAs)
    炎症を抑制し、鼻づまりに有効。

  • 点鼻ステロイド
    最も効果的な治療法の一つ。

    局所的に炎症を抑え、副作用が少ない。




その他、以下のような治療法もあるようです。


  • アレルゲン免疫療法(舌下免疫療法)
    花粉エキスを少量ずつ摂取し、免疫を慣らしていく治療。

    数年かかるが根本的な改善が期待できるとされる

    (参考: Durham et al., J Allergy Clin Immunol, 2012)。

  • 免疫抑制剤(副腎皮質ホルモン)の筋肉注射

    上腕や臀部にステロイドを含んだ注射を行う治療。

    即効性があり、重症の花粉症患者にも有効とされている。

    しかし副作用のリスクが高いため、厚生労働省や日本耳鼻咽喉科学会は、この治療法を慎重に行うべきとしているようです。


以上が一般的だと思います。

もはや年々患者数が増えていっている花粉症ですが

そのリスクファクター(危険因子・増悪因子)として

  • 遺伝的要因
  • 環境的要因
    大気汚染、気候変動、生活習慣など
  • 精神的要因
    言わずもがな…ストレスですね

が関与していると考えられています。


遺伝的要因や環境的要因(生活習慣は除く)に関しては

もうどうしようもありませんが…

精神的要因や体内のホメオスタシス(生体恒常性)に関しては

一定数、鍼灸や漢方などの東洋医学でも

アプローチすることができると考えられています。


【東洋医学の視点から見た花粉症】

鍼灸の適応症としてWHO(世界保健機構)でも

”上気道・呼吸器疾患”などを認定しています。

対応疾患

花粉症は粘膜で炎症反応が起きているため

その範疇に含まれます。



しかし、論文を探ってみたものの

中医学を用いて発表されているのものは数少なく、

日本においては1文献しか見つかりませんでした。

(中国では数多くあったのですが、

ロックがかかっており閲覧することができない…)


その文献には


花粉症の発作は、特に肺と密接な関係があり、
長期にわた り発作を繰り返すと、
肺・脾・腎に影響が及ぶとし…


と記載があった。


東洋医学(蔵象学)的に

  • 肺(呼吸器系)
    外邪を防ぐバリア機能(衛気)が弱ると、
    アレルギー反応が起こりやすい。
  • 脾(消化器系)
    脾の機能が低下すると、水分代謝が悪化し「湿」が溜まり、
    鼻水やむくみの原因になる。
  • 腎(生命エネルギー)
    腎の気が不足すると、全身の防御力が低下し、
    アレルギーが発症しやすくなる。

と考えることができる。


それもそうなのだが…

私の見解では春の花粉症は

肝の臓が深く関わっていると考えます。

以下、その理由です。


春は五行論では木の属性があります。

木に配当される臓はです。

この肝は気の循環(疏泄・条達)を適切に保ち、

血を溜め込む(蔵す)作用があります。

そして”怒”の感情の影響を受けやすいですが、

昔の中国の医学ですので

語源が近しい”努”の影響も受けると考えられます。

:プンスカ起こる、イライラするなど

:頑張りすぎる、根を詰めるなど


努めることを、「気張る」と言い方をするように

一時的に気を張って頑張れるけども、

ずっとそれが続くと、肝の臓はヘトヘトになって

機能低下を起こすわけですね。

これが現代医学でいう所謂、ストレスというやつですね。


肝の臓はストレスの影響を受けやすいのです。


程よい息抜きも大事なわけですね〜。



更に、

陰の極みである冬至から

次第に陽の極みである夏至へと

移り変わる道中にあります


つまり、自然界において気温上昇と共に

陽気が増してくる時季です。


ただでさえ気が上昇しやすい傾向にあるなかで、

肝の臓の働きが狂ってしまう(肝気が暴発する)と、

肝気上逆して、さまざまな上部の不調を起こしてしまうわけです。


春先にめまい頭痛耳鳴りを訴える方も多いですが、

これがメカニズムとなっている人が多い印象です。

(必ずそう、ってわけではありませんが)

これに加えて体質素因を考慮して治療していくわけですね。


花粉症も、上部の症状ですよね。


上記理由により、私は

肝の問題も含めて診ていかなければならない、

と考えています。


【症状別でみる花粉症】

更に、花粉症には様々な症状があるわけで

どの症状が強く出ているか、によって

どの臓腑に以上があり、

どのように問題を起こしているのか?

を考えることができます。


ここが現代医学とは違い、

緻密に分析しないといけませんが…

それがまた面白いんですよね。


簡単に紹介すると、


鼻水が多くてズルズル

身体内に湿邪が停滞しており、それが肝気上逆と同時に

上部に持ち上げられることにより発生している。
※飲食の不摂生や、脾≒消化器の弱りにより、湿邪が発生しやすくなります。


鼻詰まり

鼻は肺の臓の官。

肝気上逆により肝より上部に位置する肺が犯され、

宣発粛降機能(気を布散させる力)が衰え、

鼻腔で気が停滞することで起こる。


目の痒み・乾燥

眼は肝の官であり、肝気逆することで

一段と眼の痒みを覚える。


主症状ではこのような感じですね。


生活習慣の問題も

リスクファクターとして取り上げられていますが、

飲食の問題では

甘味や小麦製品(麺類・パンなど)の過剰摂取は

身体に湿邪を発生しやすいですし、

油膩物や肉食ばかりでいると

身体に熱がこもって陽へと傾いていきます。


睡眠が不足すると身体の陰分は消耗され、

相対的に陽へと傾いていきます。


故に花粉症の症状が出やすくなるわけですから、

日頃の生活習慣を整えない限りは、

鍼灸施術をして身体を整えても、

また戻ってしまう可能性があるわけですね。


毎日毎日鍼灸を受けることも難しいと思いますので

この辺りは皆さまに知っておいていただきたいですね…。


春の季節の食養生については

別の記事にも記載していますので

参考にしていただけたら幸いですm(_ _)m

二十四節気『啓蟄』食養生


漢方薬も活躍している臨床例がありますが

それを書いていると終わりがなさそうなので…笑

今回はひとまずこのあたりで終わります。


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鍼灸 縁庵

住所:大阪府茨木市永代町6-19 近藤ビル402

電話番号:090-3890-4915

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