花粉症の東洋医学的見解 鍼灸・漢方が効く

query_builder 2025/03/13
茨木_鍼灸東洋医学
花粉症でくしゃみをする女の子 可愛らしいアニメ風 (1)

前回は花粉症の現代医学的見解と、

東洋医学的見解の双方の視点でのお話をしました。

花粉症の東洋医学的見解 鍼灸は効くのか?


では、鍼灸と漢方がどのように働いて

どのようにアプローチしていくのか?


という話を今回はできたらなと思います。


【花粉症に対する鍼灸施術】

前回説明したのは主に肝の臓の機能異常によって

気機(気の働き)が失調し、様々な症状を発現する、

というような話でした。


先に注意していただきたいのですが…

今回は主に春花粉の話をしています。

秋花粉の病理機序も現代医学的には同じかもしれませんが、

東洋医学的には、また別の病理機序があるものだと

私は考えています。


そして東洋医学的には花粉(植物)の種類は関係ありません。

本来、害のないものに”身体が反応してしまっている”

ということが異常なのです。


さて、では鍼灸でどうアプローチしていくのか?


そもそも鍼灸の業(わざ)や漢方の処方には

大きく分けると2つあります。

  • 瀉法(しゃほう)
    余剰なもの(病理産物≒邪気)を除去し、
    正気(生命力と考えていただければ)を扶ける方法。
  • 補法(ほほう)
    身体の不足している正気を補い、邪気に対抗する力をつける。

目の前の患者さんが


邪気が強くて(邪気)不調をきたしているのか?

正気が弱って(正気)不調をきたしているのか?


によって使い分けるってことですね。


つまり、正気が充実している状態こそが

『健康』と考えます。


しかし…

邪気と正気が丁度拮抗している場合もあります。

この場合は瀉法と補法の中間を

巧みに使う必要があります。


俗に平補平瀉と言ったりしますが…


当院では鍼灸の手技や置鍼時間によって調節しています。


ひとえに花粉症と言いましても

虚と実があるわけで、

鼻水や目の痒みなどの症状は同じでも

病理機序や体質を考慮すると

補うべきか、

瀉するべきか…

と違う施術法になることもあります。


同じ病気で違う治療法になることを


同病異治(どうびょういち)といいます。


特に当院は少ない本数で…

基本的に1本で施術するため

この辺りがシビアになってきます。


さて、話を戻します。


前回の記事で春の花粉症においての

東洋医学(中医学)視点での病理機序を綴りました。


主に肝の臓が主体となっているのではないか?

という話でしたね。


そして、どんな症状がキツく出ているのか?


を踏まえることで

従属的に影響を受ける臓腑も考えることができます。


ここも虚実で考えます。


例えばですが

鼻水がズルズルで痰湿邪の存在を疑った場合、

なぜ、痰湿邪が存在しているのか?

を考える必要があります。

  1. 外的環境の影響(湿気が多い環境など)
  2. 飲食の不摂生によるもの(甘物や小麦製品などの過剰)
  3. なんらかの影響で脾が機能失調を起こし、
    痰湿が発生する(脾は生痰の臓)

などなど

この場合であれば、3は脾が弱った結果、

痰湿邪が発生してしまっているので

ここでは脾を補うような処置をします。


しかし、肝気が暴発して脾を逼迫(肝脾不和)することで

脾が弱っている場合は、肝の臓に原因があり、

肝の暴発を止めてやる(瀉法)を施す必要があります。


目の痒みがひどい場合は

  1. 風熱邪が肝経に入り、肝気により上逆したとき
  2. 元々身体の熱が盛んな場合、肝気上逆に持ち上げられる

などが考えられます。


主な症状はどれか?

さらにその症状の中でも、どのパターンに当たるか?

メインの臓腑はどれで従属的なものは何か?


というように考え、その時々に最適なツボに

補法or瀉法を行うわけですね。

もちろん、個々の体質素因も踏まえます。


ですので、1つの症状しかみれない、ということはなく

1本の鍼でも芋づる式であれこれ良くなる場合があります。


ツボは人体にたくさんありますが、

それぞれに意味合いがあり、効能が違います。


ですので花粉症にはこのツボだ!

という安直な考えはありません。

本当に人それぞれです。


補瀉を間違えると

下手したら悪化させる場合もありますので…。

気をつけてくださいね。


【花粉症と漢方・薬膳】

では、花粉症に漢方薬は

どのように活躍してくれるのでしょうか。


まず、一般的に処方される代表例です。


  • 小青竜湯(しょうせいりゅうとう)
    :鼻水やくしゃみが多いタイプ向け
  • 玉屏風散(ぎょくへいふうさん)
    :免疫力向上、予防効果
  • 葛根湯(かっこんとう)
    :初期症状の緩和

さらに小青竜湯には

ヒスタミン放出を抑制する作用が

研究で確認されているようです。


そして私が綴っているように

肝気の上逆がメインとなり、諸症状を起こしているのであれば

以下のような漢方が有効だと考えられます。


  • 柴胡疎肝湯(さいこそかんとう)
  • 逍遥散(しょうようさん)

これらは肝気の調整を助けてくれるものです。


なかなか、馴染みがなく処方もしてもらえるかどうか…

ってところですが…笑


理論ではこんな感じですね。


あとは食事療法(薬膳)がオススメです。


積極的に摂りたい食材

ネギ・ショウガ・シソなどの薬味

:辛味により身体を温めるので
 発汗・解毒作用があるためデトックスに。

れんこん

:滋陰作用があるので粘膜を強化し、免疫を整えてくれます。

青魚(EPA・DHA)

:抗炎症作用により、症状が酷い人は特に意識してみてください。


避けるべき食材

乳製品・甘いもの

:痰湿が溜まりやすいです。また洋菓子は油分も多いので

 身体に余分な熱を溜め込んでしまう可能性があります。

冷たい飲食物

:脾胃が弱い人は特に気をつけましょう。 

 身体を冷やし、寒湿を溜め込んでしまうことで

 免疫の低下につながる可能性があります。


また、肝の働きをサポートするものとして

酸味のある食材

:酢の物、梅干し、柑橘類

春に旬の苦味を含む食材

:菜の花、春菊、アスパラガスなど


このようなものを是非、頂いてください。


また、カカオポリフェノールやカフェインは

興奮作用があり、肝気を一層亢らせる可能性がありますので

過剰摂取には気をつけて、少々控えめにしてください。


東洋医学は予防医学とも言われています。

日頃からの養生が大切なのです。


鍼灸や漢方を学ぶ人で知らない人はいないであろう

(いや、居たらまずいのですが…笑)

『黄帝内経』という古典には養生法がたくさん綴られており…


春三月.此謂發陳.天地倶生.萬物以榮.夜臥早起.

廣歩於庭.被髮緩形.以使志生.生而勿殺.予而勿奪.

賞而勿罰.此春氣之應.養生之道也. 逆之則傷肝.

夏爲寒變.奉長者少.


春の養生に逆らえば肝を傷め、

夏には寒変(冷えの病)を起こします

と記載されています。


謂わば、夏カゼなどの範疇かと思われますし、

昨今では夏で気温は高いはずなのに

冷え性で手先、足先がめっちゃ冷えている人…

多いですよね。


また夏頃にも話をしますが、

夏は夏で養生しないと、秋には呼吸器の病を患って、

冬には重篤化しますよ〜

ってことも書いています。


いかに昔の人は先を見据えて過ごしていたか、

本当に花粉症を改善したいのであれば、

冬くらいからは節制して、鍼灸も受けて、

準備はしておきたいですね。


症状が出ている今は、いかに症状を緩和させるか…

になりますが

今、めちゃくちゃツラい人は…

来年は、ちょっと頑張ってみませんか?笑

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鍼灸 縁庵

住所:大阪府茨木市永代町6-19 近藤ビル402

電話番号:090-3890-4915

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