【春の頭痛に鍼灸と漢方はどう効く?】東洋医学で整える、季節の不調へのアプローチ

query_builder 2025/04/09
茨木_鍼灸東洋医学自律神経体質改善
鍼灸と漢方が春の頭痛をケア

前回の記事で春特有の気候、環境の変化やストレスが

『頭痛』という形で出る場合があることをお伝えしました。

【春の頭痛】原因と対策|東洋医学・現代医学の視点から解説


鍼灸や漢方のような東洋医学に限らず現代医学でも

「自律神経の乱れ」「気圧変化」「ストレス」は

リスク要因として挙げられるようになっています。


「薬を飲んでもスッキリしない…」


と訴える方も居られ、薬に頼るだけでなく


「根本的なアプローチができないか?」


と鍼灸院などの治療院を頼るという経験を

されている方も少なくありません。

当院もそのような患者さんが数多くいらっしゃいます。


東洋医学では、「”なぜ”頭痛が出ているのか?」を

望診(視る)、聞診(嗅ぐ・聞く)、

問診(話を聴く)、切診(触れる)

を駆使して身体全体のバランスを診て、

原因となるであろうものは何か?

と、読み解いていきます。

※望・聞・文・切を合わせて

『四診(ししん)』といいます。


東洋医学的に見ると、春は「肝」が活発になりやすく、

この「肝」の働きが過剰になり、「気」が上昇しすぎると

上部に気が篭りやすくなります(=気逆)。


これが頭痛として現れたり、

肩こりやイライラ、めまいなども併発することがあるのです。


こうした気の巡りの異常や肝気の高ぶりを

鍼灸や漢方で調整していきます。


簡単にいうと全体のバランス(気機)を整え、

自然なかたちで体調を戻していくような

施術・処方がなされます。


当院では、

弁証論治(現時点の体質・体調を四診を駆使して見立てる)

重視しており、これを読んでいる方が

誤った行動を起こすことを防ぐため

「この病にはこのツボが効く!」のように

むやみに経穴(ツボ)の名称は示しません。

ご了承ください。


では、実際には鍼灸と漢方ではどのように介入するのか?

という話をしていきます。


実際に臨床現場に立っている鍼灸師の先生も

何か役立つことがあるかもしれません。

ぜひご一読ください。


【頭痛に用いられる漢方薬─“体質と状態”に合わせた処方】

「頭痛に効く漢方薬ってありますか?」

という質問を受けることがあります。


確かに、

漢方には頭痛に用いられる処方がいくつかありますが…

“症状名だけで薬を選ぶ”ことは、東洋医学では行いません。


重要なのは、

その人の体質はどうか?

では、頭痛はどのように出ているか?

という関係性をみることです。

病の本質を捉えることを「弁証(べんしょう)」といいます。


前回の記事でも記載しましたが

同じ“頭痛”でも頭痛の出方や他症状によって分類されます。


以下に、頭痛の際によく出される処方例を簡単にご紹介します

(※実際の服用は、専門家の診断のもとで行いましょう)。


  • 釣藤散(ちょうとうさん)
    イライラ・高血圧気味の頭痛に用いられることが多い処方。肝
    の高ぶり(肝陽上亢)を鎮めるとともに、
    頭部の「のぼせ」を冷ます効果が期待されます。
    朝起きたときに頭が痛い人、
    ストレスで頭がガンガンするタイプに処方されることがあります。


  • 川芎茶調散(せんきゅうちゃちょうさん)
    “風邪のような頭痛や、
    肩首こりを伴う頭痛に使われやすい処方。
    体の表面をめぐる「風邪(ふうじゃ)」による
    頭痛に対応するもので、急性の痛みや、
    外気の影響を受けやすい人に合うことがあります。


  • 加味逍遙散(かみしょうようさん)
    イライラ・ PMS・不定愁訴を伴う女性に多く使われる処方。

    肝気の流れが悪くなり(肝気鬱結)、
    血が生成されないため血虚となり、
    相対的に熱が生じることで頭痛だけでなく、
    イライラ、肩こり、目の疲れ、睡眠の質の低下、
    PMSなどの不調が生じる方に処方されることがあります。


  • 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)瘀血(血の滞り)による慢性的な頭痛や
    肩こりに用いられることが多いです。
    血の巡りが悪くなって、頭に重さや締めつけ感が
    あるようなときに用いられることがあります。
    冷えや月経不順を伴うケースでも選ばれることがあります。


  • 半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)
    胃腸関係に不安があり、
    重だるいような頭痛がある方に多く使われる処方。
    脾の運化機能が弱まり、生じた湿が滞ることで痰濁を生じ、清陽の気が頭に昇れなくなった状態。
    脾虚体質の方や、梅雨・湿気の多い環境下、
    甘いものや脂っこい食事を好むなど
    飲食の乱れがある場合に見られやすいです。

などが挙げられます。

あくまでも参考程度に…。


ここで大切にしたいのは、

「この薬が頭痛に効く」という考え方ではなく、

「身体の今の状態には、どのようなバランスの整え方が必要か?」

という視点です。


だからこそ、専門家による“診立て(弁証)”が欠かせません。

市販の漢方薬も増えてきましたが、

自己判断で飲んでも効果が出なかったり、

逆に体に合わずに
体調を崩してしまうこともありますのでご注意を…。

正しく使えばとても有効な選択肢だからこそ、

慎重に使いたいところでもあります。

ですので、ここでは「頭痛に漢方が効くことがあるんだなぁ…」

程度に思ってもらえると幸いです。


【鍼灸で“春の頭痛”にどうアプローチするか?】

鍼灸の場合も同じです。

頭痛の出方や他症状はどうなのか?を総合的に考えて分類し、

『弁証』して病の本質を捉えて施術を行います。


鍼及び灸を用いて気の巡りを整えたり、

五臓の調整をおこなったり…

身体の反応をみながら、経穴(ツボ)の状態に合わせて

繊細に処置を施し、調整することが重要です。


「まさに今、痛みが出ている」という急性期だけでなく、

再発予防・体質改善にもつながるので

定期的に施術を受けることを推奨しています。


人は毎日考えて、動いて…と生きている限り

何かしらの行動を起こすわけですから、

車や機械などと同じでメンテナンスは重要です。


今回のテーマに「春の頭痛」とあるように

身体は季節の影響も受けるので

その季節に合わせた身体状況になれるように

自分の体質や状態を理解した上で養生し、

鍼灸や漢方を用いて頭痛をはじめとした

諸症状の改善・予防をしていけるようにしましょう。


【薬を手放せなかった患者さんの頭痛がピタッと止まった!?】

当院であった実際にあったケースをご紹介します。


慢性的な頭痛に悩まされ、

いつも頭痛薬を服用していた看護師の方がいました。

お仕事柄、夜勤や気の張る場面も多く、

常に体が緊張状態にあるような印象を受けました。

いわゆる自律神経が乱れている状態ですね。


初回来院時では、鍼灸施術に加えて

「毎日30分でいいので、ゆったり散歩してみませんか?」と

提案しました。


これは、身体を動かす習慣をつけることで

東洋医学でいうところの「気の巡り」を助け、

五感を使って自然に触れることで

「肝」の高ぶりをやわらげることを意図したものです。


すると、施術と散歩を継続していただいた結果、

1ヶ月後には「そういえば、頭痛が出ていません」 と

ご本人が驚かれるほどの変化がありました。


それ以降も定期的に施術を受けていただいておりますが、

たまにストレスが強くかかった際や、
悪天候時、月経前などに
頭痛が出ることもあるものの、

「程度は以前よりかなり楽になっている」とのことです。


体質や生活リズム・環境、ストレス状況、運動習慣などを含めて、

ひとりひとりの状態に合わせた施術が必要となります。


頭痛を「薬で抑える」のではなく、

「そもそも頭痛が出にくい身体」に整えていく。

そんな選択肢の一つとして鍼灸や漢方などの

東洋医学的なアプローチがあることを、

ぜひ知っていただけたらと思います。


【まとめ:春の頭痛に悩んだら、東洋医学の視点も取り入れてみよう】

鍼灸と漢方は「気の巡り」や「五臓の働き」に着目して

頭痛の根本を整えるアプローチをとります。


症状に対する画一的な施術ではなく、

個々の体質や生活背景を踏まえた

「弁証論治」がベースになります。

東洋医学では「人体は自然界の中の一部である」という

考え方(整体観念)があります。


ですので、運動や自然とのふれあいも

身体のリズムを整えるうえで重要です。


長年の不調に悩んでいた方でも、

お身体に合った方法をとることで

その不調が改善する可能性がございますので、

「お薬が手放せない…」という方も是非、

鍼灸や漢方といった東洋医学的なアプローチを

試してみてはいかがでしょうか。

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鍼灸 縁庵

住所:大阪府茨木市永代町6-19 近藤ビル402

電話番号:090-3890-4915

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