病の原因…六淫について ~原因不明の痛みを解き明かす?~

query_builder 2023/04/21
東洋医学
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前回、風寒邪の話をしましたが…


少し不可解な要素もあったかと思うので

(風邪=カゼではない!とか、現代のカゼ症状とは別物だとか)

今回はその解説を含めてしていこうかと思います。


【病の原因:病因】

病因は発病因子ともいわれ、生理機能を阻害し病を引き起こす様々な原因あるいは条件のことを指します。


病因の分類は歴代の医家によって異りますが、

中医学で最もポピュラーなのが宋代の陳無択(ちんむたく)が記した医書『三因極一病証方論(さんいんきょくいちびょうしょうほうろん)』に解説されている、

「病は三因(外因・内因・不内外因)にある」というもの。


この三因を解説しますと…


外因…外感六淫(風・暑・湿・燥・寒・火)、疫癘の邪気


内因…内傷七情(喜・怒・思・憂・悲・恐・驚)


不内外因…(飲食不摂、労倦、外傷、虫獣傷など)


病の原因はこのように分類されるわけです。


とまぁ、これもひとつの説なので

これが全て!というわけではありませんけれども…。

(また、古代の中国と現代の日本では気候風土・環境も全然違いますしね)


一気に全部の話をするとキリがないので、

今回は冒頭にも言ったように、前回のブログにも出た風寒邪が関係する外因、外感六淫について触れていきたいと思います。


ちなみに六淫は”ろくいん”ではなく”りくいん”と読みます。


【外感六淫とは】


まず、大前提としての話ですが…

人間は自然界の四季の移り変わりの中で生活しており、

自然と人間は切り離せない関係にある、と東洋医学では考えます。

(天人合一思想:てんじんごういつしそう)


春は風木の季節であり、気候は温暖で、人体の肝の臓と相通じます。

夏は火暑の季節であり、気候は炎熱で、心の臓と相通じます。

秋は燥金の季節であり、気候は涼爽で、肺の臓と相通じます。

冬は寒水の季節であり、気候は寒冷で、腎の臓と相通じます。

そして長夏(夏と秋の間の73日間、日本では梅雨や秋雨の時季などに相当するかと思います)は

湿土の季節であり、炎熱かつ潮湿であり、脾の臓と相通じます。


これら『風・暑・湿・燥・寒・火』は四季の正常な気候の変化を意味し、「六気(りっき)」とよびます。

六気は自然界が正常に機能するための必要条件の一つであり、人体がこれにちゃんと適応できるときは病を生じない、と考えます


しかし、気候条件が異常になり、太過や不及が生じると発病因子へとなります。これを「六淫」と呼びます。


また、正常な気候変化は本来は発病因子にはなりませんが、

人体の内部環境(内因)に以上があり、自然界の変化に適応することができないと、六気であっても病変を招くことがあり、六淫へと変化することがあります。



そして『淫(いん)』という漢字は

中日大辞典によると〈過度、過分〉〈惑わす〉といった意味も含まれます。


まぁ、つまり…

”身体に悪影響を与える自然界の気”と、大雑把に考えていただけるとよろしいかと。


春先に体調崩しがち、だとか

梅雨の時期は身体が重たくて不調だ、とか

こういったものは六淫が影響しているかもしれません。


【春の主気 風邪(ふうじゃ)と冬の主気 寒邪(かんじゃ)】

風邪…カゼではありません。”ふうじゃ”です。

 風は自然界を流動する気流であり、よく動く性質があります。

 春の主気でありますが、四季を通じて存在しています。

 つまり、どの季節に於いても病因になり得るのです。

 しかし、風邪は単独で病変を起こすことは少なく、

 一般にはその他の病邪(暑・湿・燥・寒・火)を引き連れて、先導して侵襲してきます。



で、あるから様々な病変を招く風は『百病の長』ともいわれます。


また、風は肝の臓と相応し、風邪による病変は肝の気を亢ぶらせやすく、

逆に肝の臓の病変は身体内に於いて風を生じ、【振るえ、目眩、ふらつき】などが起きやすくなります。


先程いったように風木の季節である、春に生じやすいこともあり、陽の性質を持つ邪気で陽位を犯しやすい。

陽位…つまり、上部、肌表(ごく浅い部位)、経絡では陽経などです。

風は昇発を主り、腠理(毛穴)を開泄するため、発汗したり悪風(風を嫌がる)が生じます。



では次、寒邪(かんじゃ)。


寒邪…寒は気温が低いことで、いわゆる”冷え”。冬の主気です。

 寒邪は収斂(しゅうれん)作用があり、経脈の流れを阻害して、強い痛みやひきつりを生じます。

 また、凝滞(ぎょうたい)の作用も持ち、経脈の流れを阻害しつつ、

 渋滞させ気滞(気の滞り)や血瘀(血の滞り)を生じます。


気候が寒冷な冬季に寒邪を感受しやすいですが、他の季節であっても気温の急低下に身体がついていけない場合などにも寒邪を受けることがあります。

そして多くは、風邪と共に侵襲することが多いです。これを冒頭にも行ったように”風寒邪”という言い方をします。


最近では夏場でも冷房にやられて【夏カゼ】を引いた、などが別の季節でも風寒邪の影響を受けたいい例になるかと。


その他は、冬に入る直前の秋頃。

日中の最低気温が低くなりだした頃(昨年なんかは一気に寒くなったので影響を受ける人が多かったですね)など。


前回はぎっくり腰について綴りましたが、

昨年の冬前に一度ぎっくり腰を訴える方が増えたのは、

こういった風寒邪の性質があったからなのだと考えています。



この場合、風が主となり寒を乗せて侵襲してきますので

やはり、陽の部位に侵襲してきます。


つまり、上部。さらには後ろ(腹側=陰、背側=陽)。

特に経絡治療でいうと、足太陽膀胱経にあたります。


この経絡は内眥(目の内際)から始まり頭・首を通って、背中を下っていき、下肢を巡って足の小趾に至ります。


このルートからも、ぎっくり腰やぎっくり背中を起こす説明もしやすいかなと(全部がそうではありませんが)。


また同時に頭痛や肩こりや首こりも起こしやすいです。



私は風寒邪が入ったであろう患者さんに決まって言うことがあります。

「首元にタオルを入れて過ごしてくださいね(特に就寝時)。」


うちに通ってくださっている患者さんは

「あ〜なるほど〜」と思ってくださるかと。笑



もちろん、首元だけでなく…

寒邪は陰邪なので単体だと陰に当たる下部から侵襲してきます。

足元の冷えにもご注意をm(_ _)m


他の六気・六淫についてはそれぞれの季節が近づいてきたら…

またお話させていただくかもしれません。


ではでは~(  ・・)/~~~

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鍼灸 縁庵

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