喘息の原因と対策|東洋医学の体質タイプ別アプローチ

query_builder 2026/05/18
茨木_鍼灸東洋医学
喘息 イメージ画像

「夜になると咳がひどくなる」
「ゼーゼーして息が苦しい」
「季節の変わり目に決まって悪化する」
——喘息(気管支喘息)はコントロールできれば普通の生活を送れる病気ですが、発作時の苦しさは本当につらいものです。


「薬が手放せない」「体質からなんとかしたい」というお声を、当院でも耳にすることがあります。


本記事では、西洋医学と東洋医学の両面から喘息を整理し、体質タイプ別の養生法と鍼灸のアプローチについてお伝えします。


なお、喘息は発作時に命に関わることがある疾患です。


かかりつけ医の指示に従った吸入薬・内服薬の継続が最優先です。

鍼灸は発作予防・体質改善のサポートとしての位置づけとしてお読みください。


喘息(気管支喘息)とは

気管支喘息は、気道(気管支)に慢性的な炎症が起こり、ちょっとした刺激に対して気道が過敏に反応して狭くなる(気道過敏性の亢進)ことで、喘鳴(ゼーゼー・ヒューヒューという音)や息苦しさ、胸の締めつけ感、咳が繰り返し起こる疾患です。


「喘息予防・管理ガイドライン(JGL2021)」では、気道の慢性炎症・気道過敏性の亢進・可逆性の気流制限を主な病態と定義しています。

アレルギー性(アトピー型)喘息
ダニ・カビ・花粉・ペットのフケなどのアレルゲンが原因となるもの。
子どもの喘息の大多数がこのタイプで、アトピー性皮膚炎や花粉症などの他のアレルギー疾患を伴うことも多くあります。
成人でも最もよく見られます。

非アレルギー性(内因性)喘息
特定のアレルゲンとは関係なく、運動・冷気・ストレス・煙・強いにおい・ウイルス感染などで誘発されるもの。
中高年以降に発症するケースに多く見られます。

発作時は迷わず医療機関へ
喘息の重篤な発作(大発作)は命に関わることがあります。「吸入薬を使っても改善しない」「話すことが難しいほど息苦しい」「唇・爪が青紫になる(チアノーゼ)」「横になれない」などの場合は、ただちに救急を受診してください。
自己判断での服薬調整も危険です。


東洋医学と肺の考え方

東洋医学では、喘息にあたる病態を「哮喘(こうぜん)」と呼びます。

「哮(こう)」はゼーゼー・ヒューヒューという喘鳴を、

「喘(ぜん)」は息切れ・呼吸困難を指し、両方が重なることが多い疾患です。


東洋医学の「肺(はい)」は呼吸をつかさどるだけでなく、全身の気を調節し、皮膚・鼻・のどを通じて外界と接する臓です。

「肺は嬌蔵(きょうぞう)」といわれるほど繊細で、外邪(風・寒・熱・湿)の影響を最も受けやすい臓とされています。

(嬌=弱々しい、ひ弱という意味があります)


喘息を繰り返す根本的な原因として、東洋医学では「宿痰内伏(しゅくたんないふく)」という概念があります。

「痰(たん)」が普段から気道に潜んでおり、外邪・疲労・ストレスなどのきっかけで活性化し、発作が起こるという考え方です。

この潜んでいる「痰」の体質的な背景こそが、東洋医学的な体質改善のアプローチ対象になります。


古典には「発時治標、平時治本(発しているときは症状を治め、落ち着いているときは根本を治す)」という言葉があります。

発作期は西洋医学の吸入薬・内服薬によるコントロールを優先しつつ、寛解期(発作のない安定期)に東洋医学的なアプローチで体質を整えていく——

そのような連携が、縁庵が考える喘息との向き合い方です。


体質から見る喘息タイプ

東洋医学では、喘息を「冷えタイプか熱タイプか」「体力がある実証か弱っている虚証か」などで大きく分けて弁証します。

発作期のタイプと、寛解期の根本的な体質のタイプを組み合わせて施術方針を決めていきます。


寒哮型(かんこうがた)

寒さ・冷気・冷たい飲食物などの刺激で発作が起こりやすく、「寒痰(かんたん)」が気道に詰まるタイプです。

体を冷やす性質の外邪(風寒邪)が肺に侵入し、冷えで固まった痰が気道を塞ぐイメージです。

冬場や冷房の効いた部屋に入ったとき、冷たいものを食べたときに症状が出やすい方はこのタイプに近いかもしれません。

こんな症状が特徴
白っぽくサラサラした痰、冷えると悪化・温めると楽になる、背中や胸の冷え感、口は渇かない、青白い顔色。

養生のポイント
冷えを徹底的に避けることが最優先です。夏場のエアコンには特に注意し、設定温度を下げすぎない・冷風が直接あたらない工夫を。

生姜・ネギ・シナモン・山椒など温性の食材を積極的に取り入れましょう。

冷たい飲み物・アイスクリームは症状を悪化させる可能性があるため控えるのが無難です。

ぬるめのお風呂にゆっくり浸かる習慣も有効です。

参考:漢方処方の例
寒痰の哮喘には小青竜湯(しょうせいりゅうとう)が代表的な処方です。

「気管支炎、気管支喘息」などに用いられるとされる処方で、寒性の咳・痰・水様鼻汁を伴うタイプに処方されることがあります。

必ず医師・薬剤師にご相談ください。

熱哮型(ねつこうがた)

熱・湿気・辛いものや脂っこいものの過食などで「熱痰(ねったん)」が肺に詰まるタイプです。

夏場や暑い環境、体内に熱がこもりやすい方に多く見られます。

また、寒哮型が慢性化して「化熱(かねつ)」するケースもあります。

こんな症状が特徴
黄色くて粘り気のある痰、喉の乾燥・口の渇き、顔が赤みを帯びる、発熱傾向、冷やすと楽になる、便秘気味。

養生のポイント
余分な熱と湿を取り除くことが基本です。
辛いもの・脂っこいもの・アルコール・甘いものを控え、大根・梨・白きくらげ・緑茶など肺を潤し熱を冷ます食材を取り入れましょう。
禁煙は必須です。室温が高すぎる環境も避けましょう。

参考:漢方処方の例
熱痰の哮喘には定喘湯(じょうぜんとう)や越婢加半夏湯(えっぴかはんげとう)などが参考にされます。

必ず医師・薬剤師にご相談ください。

肺脾気虚型(はいひきょがた)

肺と脾(消化器)の気が不足し、体全体のエネルギーが低下しているタイプです。
発作を繰り返しているうちに体力が消耗し、寛解期でも体が弱い状態が続きます。

「宿痰」の体質的な背景として、脾の運化機能が弱く痰が生まれやすい素地があります(「脾は痰を生む源」という考え方)。

こんな症状が特徴
息切れ・倦怠感・声が小さい、少し動くと疲れる、風邪をひきやすい・治りにくい、食欲不振・胃もたれ、軟便・下痢傾向、顔色が白っぽい。

発作が落ち着いても全身の疲労感が取れない方に多いです。

養生のポイント
脾胃を整えて気を補うことが根本対策です。

消化の良い温かい食事(お粥・煮物)を基本に、山芋・なつめ・鶏肉・かぼちゃなど脾を補う食材を積極的に。過労を避け、十分な睡眠を確保しましょう。

寒解期(発作のない安定期)に定期的な鍼灸施術でメンテナンスを続けることが体質改善の鍵になります。

参考:漢方処方の例
肺脾気虚には補中益気湯(ほちゅうえっきとう)や六君子湯(りっくんしとう)などが参考にされます。

必ず医師・薬剤師にご相談ください。

肺腎両虚型(はいじんりょうきょがた)

喘息が長年続き、肺だけでなく「腎(じん)」の機能まで低下しているタイプです。

東洋医学では「腎は気の根(じんはきのね)」とされ、腎が十分な力を持っていることで呼吸時に気が深く根付く(納気)とされています。

腎が弱まると、この「気を引き込む力」が低下し、浅い呼吸・息切れが顕著になります。

中高年・高齢の方の慢性重症喘息に多く見られます。

こんな症状が特徴
吐くより吸う方が楽(吸気困難)、少しの動作でも息切れがひどい、腰膝のだるさ・冷え、耳鳴り・夜間頻尿、全体的な体力の低下。

慢性化して長年にわたる喘息の方に多いパターンです。

養生のポイント
肺と腎の両方を補うことが必要です。

腎を補う食材(黒豆・クルミ・山芋・エビ・ラム肉)と肺を潤す食材(白きくらげ・梨・百合根・はちみつ)を組み合わせましょう。

過度な運動は禁物ですが、腹式呼吸の練習(丹田を意識してゆっくり深く息を吐く)は腎に気を収める助けになります。

下半身を冷やさない工夫も大切です。

参考:漢方処方の例
肺腎両虚の喘証には腎気丸(じんきがん)や八味地黄丸(はちみじおうがん)などが参考にされます。

必ず医師・薬剤師にご相談ください。


縁庵での鍼灸アプローチ

鍼灸 縁庵では、喘息に対して発作期と寛解期を明確に区別した上でアプローチします。

発作が強い時期は、まずかかりつけの内科・呼吸器科での適切な管理を最優先としていただきます。

鍼灸は、発作が落ち着いた寛解期における体質改善・発作予防のサポートとして位置づけています。

寛解期の施術では、四診(望診・聞診・問診・切診)でお一人おひとりの体質タイプを丁寧に読み取り、宿痰の体質的な背景(脾虚・腎虚・熱痰・寒痰)にアプローチします。

肺の気を整え、免疫の要となる「衛気(えき)」を補うことで、外邪への抵抗力を高めることを目指します。


「発作の回数が減った」

「季節の変わり目を前より楽に過ごせるようになった」

——そんな変化を積み重ねていくことが、縁庵での喘息施術のゴールです。

「ずっと吸入薬を使い続けることへの不安がある」「薬を減らせる体になりたい」という気持ち、よく分かります。
ただ、喘息の吸入ステロイドは適切に使えば安全性の高い薬です。
まず医師と相談しながら、鍼灸を並行してうまく使っていただけたらと思います。
「がまん」ではなく「上手なコントロール」を一緒に目指しましょう。

喘息でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
鍼灸 縁庵では、体質に合わせた施術と養生のご提案を行っております。

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まとめ:喘息と上手に向き合う

喘息(気管支喘息)について
気道の慢性炎症と気道過敏性が原因。

アレルギー性と非アレルギー性に大別されます。

発作時は医師の指示に従った吸入薬・内服薬が最優先です。

発作が重篤な場合はただちに救急受診が必要です。

東洋医学的な4タイプ
寒哮型(冷えで悪化・白い痰)、熱哮型(熱・湿で悪化・黄い粘い痰)、肺脾気虚型(慢性・疲れやすい)、肺腎両虚型(長年の重症型・息切れが強い)。

寛解期に体質に応じた施術・養生を続けることが発作予防につながります。

共通の養生
冷気・タバコの煙・強いにおいなどの誘発要因を避ける、十分な睡眠と規則正しい生活、消化の良い食事で脾胃を整える、ストレス管理、腹式呼吸の練習。

西洋医学的な管理と東洋医学的な養生の両立が大切です。

喘息は「うまくつきあっていく」疾患です。

発作に怯えながら生活するのではなく、体の状態を知り、上手にコントロールできる体に整えていきましょう。

一緒に相談しながら、丁寧に向き合っていきます。


参考文献

1) 日本アレルギー学会 喘息GL作成委員会 編著『喘息予防・管理ガイドライン2021(JGL2021)』協和企画, 2021年.
2) 張伯臾 主編『中医内科学』上海科学技術出版社, 1988年 — 哮証・喘証の弁証分型.
3) 神戸中医学研究会 編著『中医臨床のための方剤学』医歯薬出版, 2004年 — 各弁証タイプへの方剤応用.
4) 梁哲雄 編著『東洋医学概論(改訂第2版)』南江堂, 2015年 — 肺の臓腑論・衛気の概念.

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鍼灸 縁庵

住所:大阪府茨木市永代町6-19 近藤ビル402

電話番号:090-3890-4915

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