COPD(慢性閉塞性肺疾患)の原因・症状と鍼灸アプローチ

query_builder 2026/05/30
茨木_鍼灸東洋医学体質改善
COPD イラスト


「少し歩いただけで息が切れる」

「朝起きると毎日咳と痰が続く」

「若い頃に比べて体が動かなくなった」

——そんな変化が少しずつ進んでいませんか?

COPDは、長年の喫煙などによって肺に慢性的なダメージが積み重なる病気です。

自覚症状が出る頃にはすでに肺の機能がかなり低下していることが多く、「歳のせいだろう」と見過ごされやすいのが現状です。

日本では推定530万人以上がCOPDを抱えているとされていますが、実際に診断されているのはその一部にすぎません。


本記事では、COPDの原因・症状・西洋医学での治療から、東洋医学的な体質タイプの見方と鍼灸でのアプローチまでを解説します。

👉 喘息の原因と症状|東洋医学からのアプローチもあわせてご覧ください。


COPDとはどんな病気

肺気腫と慢性気管支炎

COPDとは「慢性閉塞性肺疾患(Chronic Obstructive Pulmonary Disease)」の略称で、主に長期間の喫煙によって肺に慢性的な炎症が起き、気流が閉塞していく病気です。

大きく「肺気腫」と「慢性気管支炎」の2つの病態が混在しています。

肺気腫
肺胞(空気の交換を行う小さな袋)が破壊・融合してしまい、正常に収縮できなくなった状態です。

息を吐き出す力が低下し、肺の中に空気が残ってしまう(過膨張)ため、少し動くだけで強い息切れが生じます。

慢性気管支炎
気道の慢性炎症によって粘液が過剰に分泌される状態です。

「年間3ヶ月以上の咳・痰が、2年以上続く」ことが診断の目安とされます。

朝方の咳や痰が代表的な症状です。

COPDの最大の原因は長期喫煙で、COPD患者の約80〜90%に喫煙歴があります。

受動喫煙・大気汚染・職業性粉塵(粉塵・化学物質)も原因になります。

また、遺伝的にα1-アンチトリプシン欠乏症のある方は非喫煙者でもCOPDになるリスクがあります。

主な症状は以下のとおりです。

初期〜中等度の症状
慢性的な咳・痰、労作時の息切れ(階段や坂道で特に気になる)、体力・持久力の低下

進行した症状
安静時にも息苦しさが続く、口すぼめ呼吸(口をすぼめてゆっくり息を吐く)、体重減少・筋肉量の低下、チアノーゼ(唇・爪の暗紫色)


COPDの診断と治療

西洋医学の治療法

COPDの診断にはスパイロメトリー(肺機能検査)が用いられます。気管支拡張薬吸入後に「1秒率(FEV1/FVC)が70%未満」であることが診断基準です(GOLD基準)。

重症度はGOLD分類(I〜IV度)によって1秒量の予測値に対する割合で評価されます。

日本呼吸器学会「COPDガイドライン第6版(2022年)」に基づく主な治療は以下のとおりです。

禁煙(最重要)
喫煙中の方は禁煙が最優先です。禁煙によってCOPDの進行を遅らせ、急性増悪のリスクを下げることができます。

禁煙外来・薬物療法の活用も有効です。

気管支拡張薬
LAMA(長時間作用性抗コリン薬)・LABA(長時間作用性β2刺激薬)を中心とした吸入薬が主な治療薬です。

急性増悪リスクの高い方にはICS(吸入ステロイド)との配合剤も用いられます。

呼吸リハビリテーション
運動療法・呼吸練習・栄養指導を組み合わせたリハビリです。

息切れの改善・運動耐容能の向上・QOLの改善に効果が期待できます。

在宅酸素療法(重症例)
安静時にも低酸素血症がある場合、在宅での酸素吸入が適応になることがあります。

院長の日野より
「COPDは、進行してから気づく方が非常に多い病気です。『息切れがひどくなってきたが、歳のせいかと思っていた』というお声をよく聞きます。

吸入薬での治療と並行して、東洋医学で体全体の底力を底上げすることが、日常の質を保つうえで大切だと感じています。」


東洋医学から見たCOPD

肺と腎の東洋医学的関係

東洋医学では、COPDに相当する状態を古くから「肺脹(はいちょう)」と呼んできました。

張仲景が著した『金匱要略』(約3世紀)の「肺痿肺癰欬嗽上気病」篇には、呼吸困難・胸部膨満・咳嗽の病態とその治法が記されており、現代のCOPDと重なる記述が確認できます。

また『黄帝内経素問・咳論篇』では五臓六腑それぞれに関連した咳の病態が論じられており、肺の咳だけでなく腎・脾との関係も重視されています。

東洋医学における「肺」は呼吸・気の運行・皮膚・免疫などを司り、「腎」は生命エネルギーの貯蔵・呼吸の深さ(納気)・水分代謝・骨を支配します。

特に重要なのが「腎は気を納める」という概念で、息を深く吸い込む力は腎が補助していると考えます。

COPDが進行して息切れが強くなるのは、肺の気が弱まると同時に腎の納気力が低下している状態と捉えます。

鍼灸縁庵では弁証(体質の見立て)によって、主に4つのタイプに分類してアプローチします。


肺腎両虚タイプ

主な症状:慢性的な息切れ・少し動くだけで呼吸が乱れる・弱い咳・声が小さくなる・倦怠感・腰膝の重だるさ・夜間頻尿
肺と腎の両方のエネルギーが不足した状態です。肺で吸った気を腎がしっかり受け取れず、息を深く吸い込めなくなっています。「二つの貯蔵庫が同時に減っている状態」のイメージです。COPDが進行した方や、高齢の方に多く見られるタイプです。

痰湿阻肺タイプ

主な症状:白くて粘り気のある痰が多い・胸が重苦しい・食欲が落ちる・むくみ・身体が重だるい・湿度が高い日に症状が悪化しやすい
脾(消化機能)の弱りから体内に湿が生じ、「痰湿」として肺の気道を詰まらせている状態です。湿った綿が気道に詰まって呼吸を妨げているようなイメージです。痰が多く、慢性気管支炎の要素が強い方に多いタイプです。

痰熱鬱肺タイプ

主な症状:黄色〜緑がかった粘稠な痰・息苦しさに熱感が伴う・喉の渇き・口が苦い・便秘傾向・急性増悪(感染)時に出やすい
痰と熱が肺にこもった状態で、熱い蒸気でパイプが詰まっているようなイメージです。COPDの急性増悪期(感染が引き金になることが多い)にこのタイプの症状が出やすく、平時の体質とは別に現れることもあります。

血瘀阻肺タイプ

主な症状:唇・爪・顔色の暗紫色・胸部の刺すような痛み・チアノーゼ・舌が暗紫色・夜間に症状が悪化しやすい
肺の気血の流れが長期間滞り、血の巡りが悪くなった状態です。古くなった錆びた水道管に詰まりが生じているようなイメージです。COPDが進んだ段階や、肺高血圧の合併がある場合に見られることがあるタイプです。


鍼灸での改善アプローチ

縁庵での鍼灸施術

縁庵では北辰会方式の東洋医学に基づき、初診時に弁証(体質の見立て)を丁寧に行います。脈診・腹診・問診から体質タイプを判断し、そのタイプに応じたツボ選択と施術法を組み合わせます。基本的に使うツボを極力1本に絞る「少数鍼」を原則とし、身体への負担を最小限にしながら気血の流れを整えることを目指します。

COPDに対しては、肺と腎の気を補い、痰湿・血瘀を解消するアプローチが中心になります。
ネット上には効果のあるツボとして色々紹介されることが多いですが、実際には弁証の結果によって選穴が変わります。


鍼灸はCOPDの根本的な病態(肺胞の破壊)を直接改善するものではありませんが、息切れの程度の軽減・痰の排出のしやすさ・睡眠の質・体力の底上げといった面から、日常生活の質を支えることが期待できます。

吸入薬など西洋医学の治療と並行して受けていただくことを前提にご提案しています。

「息苦しくて外出が億劫になってきた」

「薬は使っているがもう少し楽になりたい」

——そんな方はぜひ一度ご相談ください。


まとめ:養生と日常ケア

COPDとは
長期喫煙などによって肺に慢性炎症が起き、気流が閉塞していく病気。

肺気腫(肺胞の破壊)と慢性気管支炎(気道の慢性炎症・痰過多)が混在します。

症状は労作時の息切れ・慢性の咳・痰が中心で、進行が緩やかなため気づきにくいのが特徴です。

東洋医学では体質タイプで対応

  • 肺腎両虚(息切れ・倦怠感)
  • 痰湿阻肺(白い痰・胸の重さ)
  • 痰熱鬱肺(黄色い痰・熱感)
  • 血瘀阻肺(チアノーゼ・胸部刺痛)

の4タイプに分けてアプローチします。

日常でできる養生

  • 禁煙(最も重要)
  • 体を冷やさない(特に背中・首・胸部を温める)
  • 湿気の多い環境を避ける
  • 腹式呼吸・口すぼめ呼吸の練習
  • 過労と感染予防(手洗い・マスク・インフルエンザ予防接種)

無理のない範囲でのウォーキングも肺機能の維持に有効です。

「急ぐ必要はありません。ご自身のペースで丁寧に整えていきましょう」

——自身の身体と心の声に耳を傾けながら、一緒に向き合っていきます。

COPDによる息切れ・慢性の咳・体力低下でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
体質の見立てから、ご自身に合ったアプローチをご提案します。

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参考文献

1) 日本呼吸器学会 COPD ガイドライン第6版作成委員会 編『COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン 第6版』メディカルレビュー社, 2022年.
2) Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease (GOLD). "Global Strategy for the Diagnosis, Management, and Prevention of COPD: 2024 Report." goldcopd.org.
3) 張仲景 著『金匱要略・肺痿肺癰欬嗽上気病篇』(約3世紀)— 肺脹の病態と治法に関する記述.
4) 黄帝内経素問・咳論篇(著者不詳, 古代中国)— 五臓六腑の咳に関する記述.
5) 張伯臾 主編『中医内科学』上海科学技術出版社, 1988年 — 肺脹の弁証分型の理論的根拠.


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鍼灸 縁庵

住所:大阪府茨木市永代町6-19 近藤ビル402

電話番号:090-3890-4915

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