めまい(目眩): 西洋医学と東洋医学の視点から

query_builder 2025/04/18
茨木_鍼灸東洋医学自律神経
めまい,目眩 イメージ画像

「最近ふらつく…」

「天井がぐるぐる回る…」

そんな“めまい”にお悩みではありませんか?
めまいは、内耳や脳の異常、自律神経の乱れ、

あるいは加齢など、原因が非常に多岐にわたる症状です。


しかし、「病院で検査しても原因がはっきりしない」

「薬を飲んでも改善しない」といった声も多く、

困っている方が後を絶ちません。

この記事では、西洋医学と東洋医学の両方の視点から、

“めまい”の原因と対処法を分かりやすく解説しています。


ご自身や身近な方の症状に

あてはまる内容があるかもしれません。
ぜひご一読いただき、

今後の対策のヒントにしていただければと思います。


【西洋医学的見解】

めまいの概要と分類

めまい(眩暈)とは、自分は動いていないのに

周囲や自分自身が動いているように感じる

異常感覚の総称です。


患者さんが「めまい」と表現する症状には

いくつかの種類があり、大きく次のように分類されます。


  • 回転性めまい(Vertigo):
    周囲や自分がぐるぐる回っているように感じるタイプ。
    床や天井が激しく回転・揺動・傾斜するように感じ、
    しばしば吐き気を伴う。

    典型的には内耳の平衡機能障害で起こり、
    「耳鳴り」や「難聴」を伴うこともある。

    メニエール病もこの範疇に含む。

  • 浮動性めまい(Dizziness):
    ふわふわ宙に浮くような不安定な感覚や、
    船に乗っているように揺れる感覚のタイプ。

    明確に回転するのではなく、
    フラフラとした動揺感が特徴で、
    乗り物酔いに似た気分の悪さを感じることもある。

  • 失神性めまい(Presyncope):
    目の前が暗くなり意識が遠のくように感じるタイプで、
    いわゆる立ちくらみがこれに該当。
    急に頭に血がのぼらなくなることで起こり、
    一過性に意識が朦朧とする感覚を特徴とする。


    この他にも、「揺れて二重に見える」「体が傾く」など
    様々な表現があり、
    人によって感じ方は色々とあるようです。
    しかしいずれの場合も、平衡感覚をつかさどる内耳や視覚、
    深部感覚からの情報と脳による統合に不調和が生じることで
    起こる症状といわれています。


    主な原因と関連疾患
    突然起こるめまいの約80%は
    内耳の異常による末梢性めまいといわれています。

    良性発作性頭位めまい症(BPPV)や
    「その他の末梢性めまい」が全体の約半数以上を占め、
    メニエール病が約12%、一方で
    中枢性めまい(脳卒中など)の割合は約6%に留まるなど、

    末梢性の原因が大半を占めているといわれています。
    (参考文献)

    https://www.taniguchi.or.jp/medical/dizziness/


西洋医学では、めまいの原因は
大きく末梢性(耳性)中枢性に分けられます。

前述のように多くは内耳や前庭神経など
耳の異常による末梢性めまいで、
代表的な疾患には以下があります。


  • 良性発作性頭位めまい症(BPPV):

    耳の奥の三半規管内の耳石がずれてしまうことで、

    頭を動かしたときに短時間の激しい回転性めまい発作が
    起こる病気。寝返りをしたり起き上がった瞬間に
    グルグルと目が回る発作が典型的で、

    めまい疾患の中で最も頻度が高い原因の一つ。

  • メニエール病:
    内耳のリンパ液の循環障害により内リンパ水腫が生じて
    発作性の回転性めまいを繰り返す疾患。めまいとともに
    耳鳴りや難聴(主に低音域の難聴)を伴うのが特徴。

  • 前庭神経炎:
    風邪の後などに突発的に起こることがある、
    前庭神経の炎症によるめまい。
    突然の激しい回転性めまいが数日間持続するが、
    耳鳴りや難聴といった蝸牛症状を伴わないのが特徴。

  • 突発性難聴:
    突然原因不明の難聴が起きる疾患だが、
    内耳の障害が原因のためめまいを伴うケースもある。

  • その他の末梢性めまい:
    良性発作性頭位めまい症やメニエール病以外にも、例えば騒音性難聴(大きな音の暴露による内耳障害)や
薬剤性(抗生物質など)による前庭機能障害、
慢性中耳炎が進行した真珠腫性中耳炎など、
内耳・前庭の障害によるめまい全般が該当する。

一方、中枢性めまいは脳や神経系の異常によるもので、
頻度は高くありませんが重要な鑑別項目です。

代表的な原因には次のようなものがあります。


  • 脳血管障害:
    脳卒中(脳梗塞や脳出血)や椎骨脳底動脈循環不全など
    脳幹や小脳の血流障害によってめまいが起こる。
    突然の激しいめまいに加え、複視(物が二重に見える)や
    構音障害、手足の麻痺など神経学的症状を伴う場合は
    中枢性の疑いが高まる。

  • 脳腫瘍:
    聴神経腫瘍(前庭神経鞘腫)など小脳橋角部の腫瘍は、
    進行すると徐々に難聴と平衡障害をきたし、
    めまい症状を引き起こす。
症状はゆっくり進行しますが、
    手術が必要になることもある。

  • 神経変性疾患:
    脊髄小脳変性症などの進行性の神経疾患では、
    小脳障害により平衡機能が徐々に失われ、
    慢性的なふらつき(非回転性のめまい)が生じる。


さらにこれら以外にも、全身の血液循環や
自律神経の問題でめまいが生じるケースもあります。
例えば起立性低血圧や起立性調節障害、不整脈や心不全による

脳血流低下では立ちくらみ様のめまい(失神性めまい)が
起こることがあります。

高血圧でも脳の血流が不安定になることで
同様にふらつきを感じることがあり、
貧血による酸素不足や、更年期障害やホルモン異常、
極度の疲労・睡眠不足・ストレスなども
めまいの誘因となりえます。


このように、めまいの原因は耳鼻科疾患から
循環器、神経内科、内分泌、精神的要因まで
本当に多岐にわたり、命に関わるものもあるため、

容易にみてはいけません。


診断方法(問診・検査)

めまいの診察では、まず医師による詳しい問診が非常に重要です。
症状の現れ方(回転しているのかふらつく程度か、発作の持続時間、きっかけとなる動作の有無)、
随伴症状(耳鳴り・難聴の有無、頭痛や神経症状の有無)などを
丁寧に聞き取り、末梢性か中枢性か、おおよその見当をつけます。

その上で、必要に応じて次のような検査を行います。


  • 眼振検査:
    めまい発作中にはしばしば
    「眼球が不随意に揺れる(眼振)」ため、
    その有無や方向を見る検査です。
    特殊なゴーグル(フレンツェル眼鏡)や
    赤外線カメラで眼球運動を観察・記録し、
    眼振のパターンから末梢性か中枢性か、
    ある程度原因部位を絞り込むことが可能です。


    例えば、
    BPPVでは頭位変換で誘発される特徴的な眼振が見られ、
    中枢性なら上下方向の眼振や持続性の眼振が見られる、
    といった所見があります。


  • 聴力検査:
    内耳が原因のめまいでは聴力低下を伴うことが多いため、
    聴力を調べます。メニエール病では低音域の難聴が特徴的ですが、
    自覚しない程度の難聴もあるため検査が重要です。


  • 平衡機能検査:体平衡試験として、まっすぐ立って目を閉じたときの
    ふらつきを見るRomberg検査や、その場で足踏みして
    体が回転するかを見る踏み足検査(Fukudaテスト)などで
    平衡感覚の偏りを評価します。
    さらに精密な検査として、
耳に温水や冷水を入れて
    眼振を誘発する温度刺激試験(カロリックテスト)や、
    動的平衡機能を調べる重心動揺計検査などが
    行われることもあります。


  • 画像診断:
    MRI・CT検査は中枢性めまいを疑う場合に行われます。
    脳幹や小脳に梗塞や腫瘍がないか、
    または慢性的な脳血管障害所見がないかを確認します。
    特に危険なめまい(命に関わる脳卒中など)を
    見逃さないことが診断上重要です。必要に応じて
    血液検査や血圧測定など全身状態の評価も行い、
    貧血や甲状腺機能異常などの有無を調べることもあります。


このように問診・理学所見・検査を総合して
原因を特定していきます。

めまい診断は時間がかかりますが、
中枢性の危険な原因を除外し、
適切な治療方針を立てるために重要なプロセスです。


もちろん、中枢性に問題のあるような、
命に危険を及ぼす可能性のあるものは鍼灸は適応外です。

特に、手足のしびれ・ろれつが回らない・視界の異常(複視など)
などを伴う場合は脳の異常(中枢性)が疑われますので、
すぐに医療機関を受診するようにしてください。



鍼灸院でも「めまいがあって…」
と言って来られる患者さんも多いですので、
医師以外の我々鍼灸師もちゃんと知識をつけておいて、
”手を出していいものかどうか”の適切な判断を
きるようにしなければならないですね。


めまい持ちの患者さんが、

「いつもと違うめまいがする」といった場合には
本当に注意を払わなければならないです。



治療アプローチ(薬物治療・リハビリ・生活指導)

西洋医学におけるめまいの治療は、
原因に応じた対症療法と原因療法の両面から行われます。


  • 薬物療法:
    めまいそのものや随伴症状を和らげる薬、
    および原因疾患に対する薬を使い分けます。
    具体的には、内耳の血流を改善する
    循環改善薬(イソソルビドなど)や
    抗めまい薬(抗ヒスタミン薬、抗コリン薬)、
    吐き気止め(制吐薬)、
不安を抑える抗不安薬、
    内リンパ水腫を軽減する浸透圧利尿薬(グリセロールなど)、
    炎症や免疫異常に対するステロイド、ビタミン剤などが
    用いられます。
    嘔吐があり、内服できない場合は点滴や注射で投与し、
    慢性反復性の場合は必要に応じて漢方薬が
    使われることもあります。
    なお、原因疾患への治療
    (例えば高血圧や不整脈の治療、貧血の治療など)も
    並行して行い、めまいの根本改善を図ります。


  • リハビリテーション:
    めまいの多くは時間経過とともに
    脳が適応して症状が軽快しますが、その適応を促すための
    前庭リハビリテーション(平衡訓練)も有効です。
    回復後だとこれは予防にもなりますね。
    特に末梢性めまい(内耳・前庭の障害)では、
    頭や目を動かすエクササイズやバランス訓練によって
    脳が平衡感覚を再学習し、ふらつきを改善できることが
    知られています。

    例えば、急性期を過ぎた前庭神経炎や
    慢性の両側前庭機能低下では、自宅での目標凝視訓練や
    歩行訓練などを毎日行うことで日常生活動作の安定性を高めます。

  • 外科的治療:
    ごく一部の難治性めまいには手術も検討されます。
    例えばメニエール病で内科的治療に反応しない場合の
    内耳包帯術や前庭神経切断術、
    また聴神経腫瘍に対する摘出術などが挙げられます。
    しかし一般的なめまい患者で手術が必要になることは稀で、
    まずは保存的療法で経過を見るのが通常です。

  • 生活指導:
    めまいは再発しやすい症状でもあるため、
    日常生活での工夫も重要です。共通して言えるのは、
    規則正しい生活と十分な休養を心がけ、
    過労やストレスを避けることです。
    寝不足はめまいを誘発しやすいため睡眠をしっかりとり、
    長時間のパソコン・スマホ作業で目や首に負担を
    かけ過ぎないよう注意します。
    これは、現代人特有とも考えられますね。
    そして適度な有酸素運動やストレッチで
    平衡感覚を鍛えることも有益です。
    カフェインやアルコール、ニコチンは
    めまいを悪化させることがあるため喫煙は控え、
    飲酒やコーヒーをはじめとしたカフェイン類は
    控えめにしましょう。

    また急に立ち上がる動作や頭を振る動きをゆっくり行う、
    めまい発作時は無理に歩かず安全な姿勢で安静にする、
    明るい光や大きな音を避ける、
    といった対処も指導されます。
    原因疾患別の細かな指導(食塩制限や水分摂取指導など)が
    行われる場合もありますが、
    基本的には身体のバランス機能を整える
    生活習慣を維持することが再発予防につながります。


ここまでは西洋医学的な視点から
「めまい」を整理してきましたが、
ここからは東洋医学、特に中医学の観点から見た
「眩暈(げんうん)」についてご紹介していきます。



東洋医学的見解|
東洋医学における「目眩」の考え方

東洋医学(中医学)では、
めまいは古くから「眩暈(げんうん)」と呼ばれ、
その病態は「風・痰・虚」などによって起こるとされています。

これはすなわち、
風邪(ふうじゃ)が関与する
急激な身体・精神の
変調(主に肝の異常)、

痰濁と呼ばれる体内の余分な水分の停滞、
そして虚弱
すなわち気血や腎精の不足が、
めまいの主な要因になるという考えです。

五臓のうちでは、
特に『肝・脾・腎』の失調が深く関与するとされます。


  • 肝の臓の問題
    東洋医学でいう「肝」は、いわゆる自律神経の働きや
    全身の血流・筋肉の緊張をコントロールする機能を
    担っています(≒肝の気の条達・疏泄作用、血を蔵す作用による)。
    そのため「めまいは肝に属す」と言われるように、
    ストレスや精神的過労、
睡眠不足などで肝の機能が失調すると、
    自律神経が乱れて脳や内耳への血液供給が不足し、
    めまいを生じやすくなります。
    現代医学でいうストレス性のめまいや、
    自律神経失調によるめまいはこの「肝」の失調として
    説明できるかと思います。

  • 脾の臓の問題
    「脾」(消化機能を司る)は、
    「痰なくして眩暈なし」という言葉が示すように、
    めまいと痰(=水滞)は密接な関係があります。
    脂っこい物や甘い物・冷たい物の過剰摂取で
    脾(胃腸)が弱ると、水分代謝が滞って
    体内に痰湿(水の滞り)が生じます。
    余分な水分である痰湿が身体にこもると
    頭にも栄養が届きにくくなり、
    頭が重だるくフラフラするめまいを引き起こします。
    メニエール病のように内耳に水が溜まるタイプのめまいは、

    典型的な「痰湿」による眩暈ではないかと考えられます。

  • 腎の臓の問題
    「腎」は東洋医学では生命エネルギーの源であり、
    「腎は耳に開竅(かいきょう)する」と言われるように
    耳(平衡感覚)とも深い関係があります。
    腎の中でも先天的な精(エッセンス=エネルギーの源)や
    発育、生殖を司る機能は腎精とも呼ばれ、
    加齢や過労で腎精が不足すると全身の老化現象
    (聴力低下や視力低下、筋力低下)が起こります。
    結果として内耳の平衡機能も衰え、
    高齢者に多い立ちくらみやフラつきとして現れます。
    実際、年配の方の慢性的なめまいは東洋医学では
    「腎虚(腎精不足)」の症状と捉え、

    腎を補う治療を行う場合が多いです。


以上のように東洋医学では、
めまいの背景に精神的ストレスや
生活習慣の乱れがあることが多いと考えます。
身体の内部環境(臓腑のバランス)が乱れることで
「風・痰・虚」の邪が生じ、
清陽(頭部に送るエネルギー)が不足したり、
あるいは上逆してしまうために
ふらつきや回転感が起こると説明することができます。


主な病因・タイプ別の分類

東洋医学的に眩暈(めまい)を起こすパターン(証)は、

患者の体質や症状の現れ方によっていくつかに分類されます。

代表的なタイプとその特徴は次のとおりです。


  • 肝陽上亢(かんようじょうこう)型(肝実タイプ):
    ストレスや怒りなどで「肝」の陽気が上昇しやすいタイプ。
情緒的緊張が引き金となり、頭に血がのぼったように
    カッとしやすく、イライラしがちな傾向があります。
    めまい発作時は頭痛や顔のほてり(赤ら顔)、
    目の充血を伴いやすく、耳鳴りがすることもあります。
    比較的血圧が高めで、不眠傾向になる人も多いです。
    ※このタイプが進行すると
    「肝火上炎(かんかじょうえん)」とも呼ばれ、
    急性の発作性めまいに分類されます。

  • 腎精不足(じんせいふそく)型(腎虚タイプ):

    加齢や慢性的な疲労により「腎」の精が不足したタイプ。

    いわゆる体力の衰えた高齢者や虚弱者のめまいです。
    症状として足腰のだるさや物忘れ、耳鳴り・難聴、
    頻尿、抜け毛や白髪の増加など、老化現象が目立ちます。
    腎の精が不足すると「髄海(ずいかい)=脳」が
    空虚になり、疲労を感じた夕方以降に
    悪化するフラつくようなめまいが起きるとされています。


  • 痰濁中阻(たんだくちゅうそ)型(痰湿・水滞タイプ): 

    水分代謝の失調で痰湿(水の滞り)が生じているタイプ。
    体格的には水太りでむくみやすい人に多く、
    雨の日や湿度の高い日に症状が悪化しがちなのが特徴です。
    常に体が重だるく頭重感があり、
    ひどい時は天井が揺れるような激しいめまいと
    吐き気を伴うこともあります。
    胃腸が弱く、食後に胃もたれや眠気を催す場合も
    このタイプに当てはまります。
    「痰湿めまい」はメニエール病などにも相当し、
    耳閉感(耳が詰まった感じ)を伴うケースもあります。


  • 気血両虚(きけつりょうきょ)型
    体を動かすエネルギー(気)と
    栄養を運ぶ血がともに不足する虚弱なタイプ。
    めまい以外に疲れやすく動悸がする、顔色が青白い、
    食欲不振、不眠、立ちくらみなどの症状を訴えることが多いです。
    出産や大病のあとや無理なダイエット、
    慢性的な栄養不足でこの状態に陥ることがあります。
    頭部への血流が十分でなくなるため、
    フラっと眩暈がしやすく、休むと楽になる傾向があります。


以上の他にも、
「血瘀(けつお)タイプ」(頭部の血行不良によるめまい。頭部外傷の後遺症などで起こり、夜間に増悪しやすい)や、

「肝血不足により肝風が内動するタイプ」(貧血によるめまい等)
など細かく分ければ複数の証に分類されます。
東洋医学でも西洋医学同様に原因は様々で複雑なのです…。

しかし大まかには、
実証(余分なものが滞る)として
肝陽上亢・肝火上炎タイプや痰湿タイプ、

虚証(不足による)として
腎虚タイプや気血両虚タイプが代表的といえるでしょう。



体質別の傾向と養生法・食事指導

東洋医学では、
一人ひとりの体質に合わせて養生(日常の過ごし方)や
食養生を工夫することで、
めまいの改善・予防につなげることを重視します。

上記のタイプ別に、傾向と対策の一例を挙げます。


  • 痰湿(水滞)タイプの養生:
    水分代謝が悪いこのタイプの人は、
    身体を冷やさないことが大切です。
    日頃から冷たい飲食物や甘い物・脂っこい物は控え、
    胃腸の負担を減らしましょう。
    適度に汗をかく軽い運動や
    入浴(ぬるめのお湯にゆっくり浸かる)を習慣づけ、
    体内の余分な水分を発散させましょう。
    飲みすぎにも注意しつつ、飲料では利尿を促す
    ハトムギ茶やトウモロコシのひげ茶、
    体を温める生姜入りのお茶などがお勧めです。
    クーラーの効いた室内では温かい飲み物を摂り、
    下半身を冷やさないようにすると良いでしょう。


  • 気血両虚タイプの養生:
    エネルギー(気)と血が足りないこのタイプでは、
    十分な栄養と休養が第一です。
    日々の食事で良質なたんぱく質(豆腐・卵・豆類)や
    血を補う食材(緑黄色野菜(ほうれん草、人参など)・
    鶏レバー・レーズン・プルーン・クコの実などのドライフルーツなど)を
    意識的に摂りましょう。
    そして睡眠をしっかりとり、
    疲れを翌日に持ち越さないようにします。
    慢性的に疲れや立ちくらみがある人は、
    手帳に食事内容や体調の記録をつけ、自分の体調が
    どんな時に悪化するか把握すると良いでしょう。
    自分の体質を知り、それに合った養生を続けることで
    めまいだけでなく
他の不調も改善しやすくなります。

  • 肝陽上亢タイプの養生:
    ストレスが大きな誘因となるため、
    心身のリラックスを心がけます。
    十分な睡眠と、趣味の時間や軽い運動で
    上手にストレス発散をしましょう。
    イライラしやすい人は、菊花茶や決明子茶など
    肝を鎮めるお茶を飲むのも一案です。
    怒りっぽさや高血圧傾向がある場合、
    塩分やアルコールを控えめにし、

    辛い刺激物も取り過ぎないようにします。
    食事ではセロリやミント、緑茶など清熱効果のある食材が
    肝火を鎮めるのに役立ちます。

  • 腎精不足(腎虚)タイプの養生:
    エネルギーそのものが不足しているため、
    無理をしない生活が大事です。
    特に中高年の方は過労を避け、適度な休息を取り入れましょう。
    食養生では黒豆・黒ゴマ・山芋・クルミ・アーモンドなど
    腎を補う黒い食材やナッツ類がオススメです。
    これらは腎の働きを助け、精を養うとされています。
    下半身を冷やさないよう腹巻きをしたり、
    生姜や桂皮(シナモン)で体を温めるのも良いでしょう。
    必要に応じて漢方薬(例:六味地黄丸など腎を補う処方)で

    体質改善を図ることもあります。


総じて東洋医学的なめまいのケアでは、
「めまいそのものを抑える」というよりは
体質の改善と養生によって根本から治していくことを目指します。



食事・睡眠・精神面のバランスを整えることで、
結果的にめまい発作の頻度や強さが軽減していくと考えられます。


日々の養生に加えて

漢方薬や鍼灸治療も体質に合わせて行われますが、

鍼灸ではその人にあった経穴(ツボ)を使用して

気血の巡りを改善し、自律神経を調整することで

めまいを治療します。
(※誤治を防ぐため具体的なツボの名称はここでは記載しません)。


東洋医学の視点を日常生活に取り入れることで、

西洋医学では原因不明と言われる慢性的なめまい症状も

軽減が期待できるかもしれません。


まとめ

めまいは西洋医学では耳や脳の障害による
平衡感覚の異常と捉えられ、
的確な診断と対症療法・リハビリにより多くは改善します。



一方、東洋医学では全身のバランス失調の現れとして捉え、

体質に合わせた根本治療と養生でアプローチします。


それぞれ視点は異なりますが、

「めまいに悩む患者の生活の質を向上させる」

という目的は共通しています。


両方の知見を上手に活用し、

自分の症状に合った対処法を見つけていくことが大切です。

各種のめまいに関する正しい知識を持ち、

必要に応じて専門医や専門家に相談しながら、

上手にめまいと付き合っていきましょう。

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鍼灸 縁庵

住所:大阪府茨木市永代町6-19 近藤ビル402

電話番号:090-3890-4915

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