【立夏の養生】夏のはじまりに、心と身体をととのえる

query_builder 2025/05/08
東洋医学
立夏イラスト

5月上旬から始まる「立夏」は、

暦の上で“夏の気”が立ち上がる節目。

自然界はぐんぐん陽気を増し、

草木は生き生きと成長。


でも、私たちの身体は急な変化に敏感で、

体調を崩しやすくなる時季でもあります。


東洋医学・五行思想では「夏=火・心・陽」に属し、

天地の陽気が極まり始める頃…

つまり、自然界が春の芽吹きを経て、

エネルギーが積極的に外向きに動き始める、

「陽気の発動期」とも言えます。


適度な運動をしつつ、発汗することで

身熱を放散し、”いかに身体に熱がこもらないようにするか”

が大事です。


そして陽気を引き締め、

心神(精神面)の安定を図ることも大事です。


【立夏とはどんな日?】

「立夏」とは、

文字通り「夏が立つ(始まる)」という意味。

二十四節気の第7節気にあたります。

また、時期的には五節句の一つ

「端午の節句(5月5日)」とも近く、

「立夏=子どもの健やかな成長」

「強い陽気を持つ男子の節句」と重ねられ、

現在では「こどもの日」として祝われる傾向もあります。


◉ 五節句とは:

人日(じんじつ)の節句(1月7日)

七草の節句とも呼ばれ、七草粥を食べる風習があります。


上巳(じょうし)の節句(3月3日)

桃の節句とも呼ばれ、ひな祭りとして知られています。


端午(たんご)の節句(5月5日)

菖蒲(ショウブ)の節句とも呼ばれ、今ではこどもの日として知られています。


七夕(しちせき)の節句(7月7日)

星祭とも呼ばれます。


重陽(ちょうよう)の節句(9月9日)

菊の節句とも呼ばれます。


このうち端午の節句では、
菖蒲湯・柏餅・粽(ちまき)などを用い、

体調管理と厄除けを願う風習が残っています。


【立夏に取りたい食材・料理】

この時季におすすめなのは、

「熱を冷まし」「気を引き締め」「潤いを与える」

ような食材です。

◉ 食材例

苦味:ゴーヤ、春菊(心火を清め、余分な熱を冷ます)

酸味:梅干し、酢(気の浮きを抑え、汗腺を引き締める)

潤い:白きくらげ、百合根、豆腐、蜂蜜(陰を補い乾きを防ぐ)


といったものがおすすめの食材となります。


◉ 簡単レシピ紹介

  • 『ゴーヤと鶏むね肉の梅肉和えサラダ』
    → 疲労回復・暑さ対策・気の調整に◎
    ゴーヤが苦手な方はきゅうりで代用してもよいでしょう。 あっさりして食べやすく、これから気温が上がってきて食欲が低下しがちな時季にも活躍します。


  • 『白きくらげと百合根の豆乳スープ』
    → 潤い補給で、のど・呼吸を守る養生スープ
    黄砂や花粉など、大気の不安定さが続く中で呼吸器を守る一杯。
    発汗(=陰分の消耗)が進むと身体は陰虚に傾き、結果として熱をこもらせやすくなります。
    発汗を促す運動もほどほどにし、熱を冷ますと同時に“潤す”ことが重要です。


【今日からできる、立夏の暮らし養生】

東洋医学の古典『黄帝内経』「四気調神大論編」には

以下のように記載があります。


「夏三月.此謂蕃秀.天地氣交.萬物華實.夜臥早起.無厭於日.使志無怒.使華英成秀.使氣得泄.若所愛在外.此夏氣之應.養長之道也. 逆之則傷心.秋爲痎瘧.奉收者少.冬至重病」

訳:夏の3ヶ月間(5月〜7月)は”蕃秀”といい、
天地の気が交わり、万物が栄える季節です。
日暮れは遅く、日の出が早いため、
それに合わせて活動しましょう。
日に当たることを嫌がらず、気持ちは怒りなく、
花のある植物のように愉快に保ち、
体内の陽気を外に発散できるようにしましょう。

これが夏に応じた養生の道理です。
これに逆らえば心の臓を傷め、
秋には痎瘧(かいぎゃく:呼吸器疾患全般と考えられる)を患って、冬には重症化するでしょう。



やはり食事だけ気をつけておけばいいものではありません。

先ほども述べたように、適度に太陽の日にあたって、

陽気の発散(=発汗)も必要となります。


ここで…

以下のようなことを少し意識してみて、

”ちょっと丁寧な生活”をしてみてはいかがでしょうか。


◉ 暮らしでできること

  • 朝、軽く日光を浴びて深呼吸
    →身体全体の気の巡りをよくします。


  • 湯船でじんわり汗をかいてリセット
    →ほどよい発汗(により熱を追い出す)。
     気の巡りを良くしてリラックス。


  • 寝具や衣類を夏仕様に変えて通気性を意識

 →睡眠の質の向上は滋陰(じいん/陰を養うこと)に繋がります。
 身体の熱を籠らせづらくするのに大事です。


  • 冷たい飲み物はほどほどに。白湯や常温のお茶を飲む→冷えたものの取りすぎはかえって脾胃を傷めます。 
     過剰に冷たいものを摂らないように気をつけましょう。


【まとめ】

「立夏」は、ただの夏のはじまりではありません。
“陽気のピークに向かう第一歩”であり、

これからの季節を快適に過ごすための“準備期間”でもあります。


無理に頑張りすぎず、呼吸と食事と生活のリズムで心と身体を調えていく。

そんな“少し丁寧な暮らし”を、立夏の節目に始めてみませんか?

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鍼灸 縁庵

住所:大阪府茨木市永代町6-19 近藤ビル402

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