【小満の養生】湿と熱に揺れる季節、気をめぐらせ身体を整える

query_builder 2025/05/23
東洋医学
二十四節気「小満」イラスト

「最近ジメジメして過ごしづらい…」

「急に蒸し暑くなって身体がついていかない…」

そのように感じる方、多いのではないでしょうか?


5月下旬に訪れる「小満」は、

自然界の命がぐんぐん育ち始める、初夏の穏やかな節目です。

麦が実り始め、田畑が「少しずつ満ちてくる」。

そんな喜びと安堵が名前の由来になったとも言われます。


しかしこの時期、私たちの身体は

“湿気”と“気温上昇”のダブルパンチを受けやすく、

だるさ・むくみ・食欲不振といった不調が出やすくなります。


【小満とは?】

小満は、二十四節気の第8節気で、

2025年は5月21日から始まります。

「万物が次第に満ち足りてくる」状態を表し、

春にまいた麦や稲がすくすくと育ち、

その成長を見て“少し満足(小満)”できる時季と

いう意味合いもあるようです。


中国の古典『淮南子』などにも登場し、

「陽気が満ち始め、衣を軽くする」季節とされています。 

そして日本でも古くから

農作業(田植え・麦の収穫)の合図として重要視されてきました。

農村部では田植え・麦刈りの本格化が始まる重要な節目です。


また、地方によっては「蚕祭り」など、

養蚕の神事や紅花の収穫祭が行われる地域もあるようですね。

暮らしの中ではこの頃から


  • 寝具や衣類の入れ替え
  • 梅雨に備えて湿気対策(除湿・虫干し)
  • 初夏の茶摘み・新茶の飲用

などが意識され始めます。


【東洋医学的に見る“小満”】

東洋医学では、この時季あたりから

「湿邪(しつじゃ)」と「暑邪(しょじゃ)」が関与してきます。


外からの湿気と、内からの余分な熱が同時に増してくるため、

以下のような症状が出やすくなります


  • 身体の重だるさ
  • 食欲不振・胃もたれ
  • むくみ・排尿トラブル
  • 皮膚トラブル(湿疹やかゆみ、アトピー性皮膚炎も含む)

などなど。


養生のキーワードは…

  1. 利湿(りしつ)
    =体にたまった水を捌く
  2. 健脾(けんぴ)
    =脾(胃腸)を元気にする
  3. 理気(りき)
    =気の巡りを良くする

これらを意識して季節に合った食材を摂理、

養生していきたいですね。


【小満に取りたい食材・料理】

◉ 食材例

  1. 利湿: はとむぎ、とうもろこし、小豆、冬瓜
  2. 健脾: もち麦、にんじん、山芋、かぼちゃ
  3. 理気・香味: 紫蘇、生姜、陳皮、ミョウガ

「冬瓜」と書きますが、

瓜類は基本的に利尿作用があるため、

利湿として働きやすいです。


◉ 簡単レシピ紹介

  • 『はとむぎと冬瓜のスープ』
    → 体内の余分な水分を流して、スッキリ軽やかに。
    はとむぎは健脾利湿、冬瓜は清熱と利水に優れた名コンビ。
    これから冷たいものの飲食物が増えてきがちですが、しょうがやねぎを少し加えると、内臓の冷えにも対応できます。


  • 『紫蘇ともち麦の混ぜご飯』
    → 紫蘇の香りで気を巡らせ、もち麦で脾を補う一品。 腸内環境も整いやすく、梅雨前の不調対策としておすすめです。
    簡単に作れるので取り入れやすのもgoodですね!


【今日からできる、小満の暮らし養生】

  • 冷たいものを極力控えめに。常温の水分補給を意識
    暑くてつい、冷たいものが欲しくなりますが、
    身体のことを想って、まずは飲み物を常温にしてみませんか?


  • 足元やお腹を冷やさない。冷房の使いすぎに注意
    室内で冷房がかかるようになってきました。冷たい空気は低いところに溜まりがちです。足元を冷やすと様々な不調を引き起こすので、靴下を履いたり、オフィスでは膝掛けを用意したりと工夫しましょう。


  • 雨の前後はゆっくり過ごす(気圧の急変に対処)
    最近、天候も不安定ですね。特に雨天前の”曇天時”は気圧の急変により、体内の気が上昇しやすく、上部での不調を起こしやすいです(頭痛や肩こり、めまいなど)。早めに対処して無理なく過ごすようにしましょう。


  • 香りのよいハーブや精油(例:レモングラス・紫蘇)で気を巡らす
    柑橘系の香りはリラックス効果があるとされますが、東洋医学的に考えても、”酸味”は肝の気を和やかにしますので理にかなっています(肝には気を巡らせる働き=疏泄作用があるため)。帰宅後にアロマやお香を焚いたりして少しゆったり過ごしてみてはいかがでしょうか。
  • 甘い物・脂っこい物の摂りすぎを控え、胃腸を労わる甘い物や脂っこいものの過剰摂取は身体に湿邪と熱邪を溜め込み過ぎてしまいます。先述したような身体のトラブルを一層、引き起こしかねません。
    おすすめした食材を意識しつつ、暴飲暴食にも気をつをつけましょう。


【まとめ】

小満は、「すべてが満ちていく途中段階」。

まだ“満ちきってはいない”からこそ、

丁寧に体を整えることが大切です。

湿邪と暑邪に揺さぶられがちな初夏。

無理をせず、気を巡らせ、湿や熱をさばいて、整える。

そんな穏やかな過ごし方が、

次の季節の元気な自分をつくってくれます。


今日から少し、

“ていねいな季節の準備”をはじめてみませんか?

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鍼灸 縁庵

住所:大阪府茨木市永代町6-19 近藤ビル402

電話番号:090-3890-4915

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