東洋医学は風邪症状にも有効!? 鍼灸で出来る“かぜケア”とは

query_builder 2022/11/13
東洋医学
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前回は、冷えからくる急性腰痛――

つまり、軽く「かぜ」を引いたところから派生するタイプのギックリ腰がある、というお話をしました。


腰痛 〜東洋医学の視点から〜 その4


今回は、その続きとして、


  • 「かぜ」と鍼灸の関係
  • 古典『傷寒雑病論』の考え方を、どう応用しているか


について、少し掘り下げてみたいと思います。



【かぜが鍼灸で良くなるの?という疑問】

「かぜが鍼灸で治るんですか?」

と驚かれる方も多いと思います。


私としてはむしろ、

「そういうときこそ、早めに頼ってほしい」

というのが本音です。


日頃から通ってくださっている患者さんには、


  • かぜ症状がドーンと出る前の「ごく初期」
  • 本人は「ちょっとおかしいかな?」くらいの段階


から対処して、症状が本格化しないように整えていくことを心がけています。


【『標本緩急』という考え方】

ここで出てくるのが、東洋医学の言葉である

『標本緩急(ひょうほんかんきゅう)』です。


ざっくり言うと、

  • 「標」=今まさに出ている症状
  • 「本」=その症状を生む体質的な背景・根本
  • 「緩急」=どちらを優先して治すべきかを見極めること


という考え方です。


「急なれば、すなわちその標を治す」

といわれるように、急性の症状が強いときには、まず目の前の症状(標)をしっかり抑えにいく。


そのうえで、落ち着いてきたら「本=体質」の方を整えていく、という順番を大事にします。


通ってくださっている方から、

「そういえば最近、大きく体調を崩してないんです」

と言っていただけるのは、

こうしたかぜの“引き始め”で標をしっかりケアし、落ち着いたら本(体質)の方をコツコツ整えている…

その積み重ねの結果でもあります。



【古典『傷寒雑病論』とは?】

この記事の冒頭に載せた写真は、

『傷寒雑病論(しょうかんざつびょうろん)』

という東洋医学の古典です。


もともとは、

  • 中国医学三大古典のひとつである『傷寒論』
  • そして『金匱要略』


この2つの内容がまとめられた書物だとされています。


…と、細かい話は置いておくとして(笑)、


ポイントはここです。


これは「鍼灸」の本ではなく、漢方(方剤)の古典だということ。


たとえば、有名な葛根湯(かっこんとう)。


古典にはこんな条文があります。


「太陽病、項背強几几、無汗、悪風、葛根湯主之。」


ざっくり意訳すると、


「かぜの初期で、首すじ〜背中がガチガチにこわばり、汗は出ず、風に当たるとゾクゾクするようなときは葛根湯を使いなさい」


といった意味です。


このように『傷寒雑病論』には、

  • かぜ様症状の軽いもの
  • いまの医学でいえばインフルエンザや腸チフスのような重い急性病

まで、さまざまな「病のパターン」と、それに対応する漢方薬がびっしり書かれています。



【「漢方の考え方」をツボに応用する】

ここで出てくる疑問が、


「でもそれ、漢方の古典なんですよね? 鍼灸とは関係ないのでは?」

というところだと思います。


結論から言うと――


応用次第で、鍼灸にも大いに活かせます。


ポイントは、

「この漢方は、からだにどんな作用を及ぼしているのか?」

を理解し、それと似た作用を持つツボを選ぶという発想です。


先ほどの葛根湯でいえば、


  • 首〜背中のこわばりをゆるめる
  • からだの表面にある「邪気(風寒)」を追い出す
  • よく汗をかかせて、かぜの初期をさっと抜けさせる


といったイメージで用いられます。


鍼灸では、 葛根湯と同じような

「表を開き、首〜背中をゆるめる」働きを持つツボを選び、

そこに鍼やお灸をしていく


という形で『傷寒雑病論』の知恵を応用します。


この場合、漢方の知識 ツボ(経穴)の知識 その両方が必要になるので、それなりに大変ではあるのですが…(笑)


だからこそ面白く、奥深いところでもあります。



【鍼灸でできること・できないこと】

こうして古典を応用することで、

  • かぜの引き始め
  • のどの違和感やゾクゾク感が出てきた段階
  • 高熱のピークを超えた後の体力回復期


などに、鍼灸でからだの回復を後押しすることは十分に可能だと感じています。


一方で、

  • 高熱が続く
  • 呼吸が苦しい
  • 意識がもうろうとする

といった重い症状がある場合は、

まず医療機関での診察・治療が最優先です。


鍼灸はあくまで、

「からだが本来持っている回復力を引き出すサポート役」

としての役割になります。


インフルエンザや、近年話題になった感染症などについても同様で、

まずは医師の診断・治療方針に従ったうえで、

体力低下や自律神経の乱れ、疲れが残っているときに鍼灸で体調を整えていく


という位置づけが安全で現実的だと考えています。


【さいごに】

  • 「かぜなんて放っておけば治る」
  • 「腰が痛いのは年のせいだから仕方ない」


と片付けてしまう前に、

その裏側にある体質や季節の影響、冷えやストレスを東洋医学の視点から一度、見直してみませんか?


かぜの引き始めや、変な腰痛・ギックリ腰が増える時期は、 身体からの小さなサインが出やすいタイミングでもあります。


「なんとなくおかしいな」と感じたら、ひどくなる前に、ぜひ一度ご相談くださいね。

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鍼灸 縁庵

住所:大阪府茨木市永代町6-19 近藤ビル402

電話番号:090-3890-4915

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