目眩(めまい)はなぜ起こる?

query_builder 2023/04/26
茨木_鍼灸東洋医学
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先日、とある研修に行ってきました。

そこで目眩(めまい)の話が上がりました。


程度は様々ですが…

うちでも悩まされている患者さんが割といらっしゃいますので

今回は目眩について東洋医学的に考えていこうと思います。


【目眩(めまい)とは?】

そもそも目眩ってなんなのでしょうか?

まずは現代医学的に考えていこうと思います。


めまいは目が回るようなくらくらとした感覚の総称である。眩暈目眩眩冒などと書く。
眩は目がかすみ、目の前が暗くなることで暈はぐるぐる物が回ってみえたり、物が揺れ動いて見えること。目眩は目がかすみ頭がくらくらすること。眩冒はひどく頭がくらくらして目の前が暗くなることとなる。ーWikipedia


Wikipediaさんからの引用ですが…

ここにあるように一口にめまい、と言いましても

色んな種類の出方をすることがわかりますね。


私はコレらのめまい症状、一通り経験したことがあります。笑



さてさて、

コレらをそれぞれ分類していくと以下のようになります。


・回転性めまい

 目が回ったり、天井がグルグル回転するような症状が起こる。

 多くは多くは”耳”に何らかの障害が生じることより起こる、と言われています。


・浮動性めまい

 非回転性のよろめくような感覚や、

 フワフワと地に足がついていないような浮遊感を伴う感覚に陥るめまいです。

 頭がボーッとしてふらつく、というような表現もあるようですね。

 こちらは脳幹や小脳の異常(中枢神経系)、高血圧などが起因しておこると言われています。



・失神型めまい(立ちくらみ)

 目の前が真っ黒に、或いは真っ白になって血の気が引くように意識が遠くなる感覚。

 代表的なものが起立性低血圧

 (立ち上がった際にフーっと意識が飛びそうになるめまい)に

 よくみられるかと思います。


或いは、それぞれ単独ではなく、兼ねて出る場合もあります。


…と簡単に紹介しましたが、

今回の目的は東洋医学的に解説することですので

大まかに「こんな種類があるんだ〜」程度の説明に留めておきます。

西洋医学的な見解を更に細かく知りたい人はググってください。笑



ただ、ここでポイントとなるのは

”耳”や”脳”に関連があるだろうということ、

もしくはそれぞれの症状の出方です。


では、東洋医学の目線でみていきましょう。



【めまい症状 東洋医学の目線で】

中医症状鑑別診断学の中では”めまい”は『頭暈(ずうん)』と表記されています。

また『暈』という漢字は

「頭がくらくらする、目が絶する」ー中日大辞典

とあります。

古代の医籍では様々な呼び方をされておりますが…

清代以降は「頭暈」「眩暈(げんうん)」と呼ばれるようになりました。或いは「目眩(もくげん)」とも。


では、頭暈を細かく分類していきましょう。


①肝陽化風型

②陰虚陽亢型

③心脾両虚型

④中気不足型

⑤腎精不足型

⑥痰濁中阻型


以上のように分類されます。

なんやら…現代医学よりおおいですね。



東洋医学ではどのような症状でも

「実(正気が満ちているか)」と

「虚(正気が不足しているか)」に大きく大別することが出来ます。

※正気=生命力、とざっくり考えていただいて構わないです。


或いはこれらが複合して出現することもあります(虚実錯雑)。


この頭暈は主に虚証が多いです。

上記の分類でいうと…

②、③、④、⑤が虚証に当たり、

⑥が実証、①が虚実錯雑したものです。


①〜⑥まで説明するとなると、

ちょっと量が多くなりますので…笑


今回は出現する症状の近い、①と②について綴っていこうと思います。


①〈肝陽化風〉の頭暈

『素問』至真要大論 に「諸風掉眩.皆属於肝」

(風邪による病で震えたり目眩がするものは肝に属す)と記載があります。


前回の記事にも書きましたが、風邪は”ふうじゃ”と読み、

現在で言うカゼとは少し違うのです。


風はよく動く性質があり、

風邪による病変は、動揺して定まらない(遊走性)性質を持ち、

めまい、振戦(ふるえ)、痙攣(けいれん)などの症状が現れやすいのです。


普段から身体が陽に傾きがちな人

(睡眠不足で交感神経部が亢っているだとか、肉食で熱がこもっているだとか…色々原因はありますが)、

怒りや悩みが鬱結していずれ爆発(肝鬱気滞〜化火)すると、

身体内でも風が起きてしまうことがあります。

これが原因となり、先程書いたような症状が起こるわけですね。


この風と熱(火)が頭を襲うことにより、頭暈(めまい)が発生する…

という機序になっています。


こちらの目眩の特徴は、

グラグラと強いふらつきがある、脹るような痛みがある、

眠りが浅い(眠気が来ず眠れない・夢をよく見る)、

怒りやストレスで症状が相悪する…などです。


こちらはどちらかというと『実』に偏る目眩になりますね。

気が実し過ぎている(過渡になっている)状態。



②〈陰虚陽亢〉の頭暈

これも、肝陽化風と同じくイライラ、不眠などの陽亢の症状は診られますが、

その根本的発生理由が違います。

先程は陽が強すぎて起こるものに対して、こちらは”陰が不足して、

相対的に陽が勝る状態になる”ことにより発生します。

つまり、こちらは『虚』ベースの目眩ってわけです。


元々の虚弱体質や慢性病・熱病により陰が消耗されることにより、

陽へ偏盛してしまうことで陽亢を起こしてしまうのです。


こちらの特徴は、

フワフワと地に足がつかないようなふらつき、目の乾燥感や異物感がある、

焦燥感、眠気は来るが眠れない、寝汗をかく、手足がほてる…などです。



肝陽化風と陰虚陽亢…

どちらも一番表面の症状は陽亢の症状が出てきて一見見分けがつきにくいですが、

よく症状を確認して、ツボや身体の観察をして、丁寧に診ていけばわかるものです。



これらを飛ばして、

肝陽化風(実メイン)なのに補ってしまったりとか

陰虚陽亢(虚メイン)なのに散らすような処置をしてしまうと、

火に油を注ぐようなもので悪化してしまう可能性もあるのです。


鍼灸って、漢方って、一つ間違えると大変なのです。

目眩にはこのツボ!肩こり、腰痛にはこのツボ!


と、まぁ…ある程度無くはないですが、

それもその人の体質を見極めて処置しないと危ないです。

デフォルトのような処置をしていると痛い目をみます。


それぐらいの気持ちで以て、診療に臨んでいただきたいですね。



と…偉そうに、つい愚痴が出てしまいました…!!


これ以上、怒って私が化風しないうちに

今回は終わろうと思います(笑)


お悩みのめまい…

それだけに焦点を合わすのではなく、

その他の症状についても関係してくる可能性がありますので

ご自身の身体の声に、しっかりと耳を傾けてあげてくださいね。


思わぬヒントが見つかるかもしれません


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鍼灸 縁庵

住所:大阪府茨木市永代町6-19 近藤ビル402

電話番号:090-3890-4915

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