五臓六腑〜三焦〜

query_builder 2023/10/07
茨木_鍼灸東洋医学
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東洋医学の蔵象学と、

西洋医学の内臓学の考え方の違い。

五蔵六腑のことをこれまで簡単にですが、

触れてきまして…いよいよラスト!

六腑の…三焦(さんしょう)!!


ん?三焦ってなんぞ???


と、東洋医学にあまり馴染みない方は

頭の中がハテナだらけなはず…。


そう、三焦という臓器はありませんからね。

なのになぜ六つの腑に含まれるのか?

そう、しっかりと働きがあるからです。


この辺りが本当に東洋医学チックで、

なかなかに理解し難い面も出てくると思うのですが…

わかれば面白い。


ということで早速いきましょう。



【西洋医学の概念にはない”三焦”とは】

これまで5つの臓と5つの腑について綴ってきました。

概念は違えど、それぞれが西洋医学でいう臓器と

相通ずるものがあったかと思います。


しかし今回ばかりは…そうは言えませんね。


”三焦”という考えは東洋医学独自の概念であり、

実際に臓器として存在するものではありません


これこそが、人体解剖がまだ発展していない時期に

人体の働きをシンボライズして示していたからこそ

表すことができたのだと思うのですが…。


それはさておき、

三焦というものはなんぞや?

という話からいきたいと思います。


まずはいつのも東洋医学の聖典である

黄帝内経から引用します。


「三焦者.決瀆之官.水道出焉.」

 ー『素問』霊蘭秘典論篇

→三焦というものは

 決瀆(けっとく)の官で水の通り道ですよ。

というように記載されています。


は漢字の語源を調べると

「水を流す」の意があるようです。決壊の決ですね。

は溝(みぞ)という意味があります。


まさに、水の通り道ってことですね。


これにより三焦というものは身体内における

水分(津液など)代謝に

関与していることがわかるかと思います。


「夫胃大腸小腸三焦膀胱・・・

其氣象天.故冩而不蔵.此受五蔵濁.

名曰傳化之府.此不能久留輸冩者也.」

ー『素問』五蔵別論


他の腑の器官と共に言及していますね。


「それらの気は天(陽)を象り、

冩して蔵さず…五臓の濁(不必要な成分)を

受けとって溜め込まずに排泄している。

だから伝化の腑とも言うのだ。

長らく止まらぬよう輸送しているわけである。」



ここで臓腑図を見ていただきたいのですが…



上焦・中焦・下焦の3つに

分けられていることがわかるかと思います。

つまり、三焦は全身に分布しているということ。


そして『難経』三十一難には

「三焦者.水穀之道路.氣之所終始也・・・」

と記載があります。

ただ単に水分(津液)を

運んでいるだけでなく、

水穀の精気・五臓の気の出入りする

場所でもあるということですね。


つまり三焦という通路があるおかげで

人体内はそれぞれが連絡し合い、

物質を代謝することができている。

ということが言えるのではないでしょうか。


非常に重要なものなのですね。


しかし…実際に三焦という器官があるわけでも、

形があるわけではありません。

そのため「孤の腑(みなしごの腑)」

とも呼ばれます。


古代中国の道家(どうか)の考えですが、

『孤』の字には”みなしご”や”はした”

という意味が含まれています。

道家ではこれらは

「世の中にあまり常識的に

受け入れられていないものこそ真実」

つまり眼に視えないもの…

こういったものは

最も尊いんだという考えがあります。


逆説的ですが…

いかに三焦という概念を大事にしていたかがわかりますね。



【他臓との関わり】

まずは経絡図を見てみましょう。




手少陽三焦経ですね。

はい、足少陽胆経と同じ、少陽経です。

少陽というものは身体の中枢部にもなる話は

以前にも軽くしたと思います。


五臓六腑〜胆の腑〜


少陽というところでは、

やはり肝・胆と繋がりますし、

少陽でも、上・中・下と全身を包括する

三焦はさらにより中枢を…

いかに重要な機構なのか、

ということがわかりますね。


全身を包括ということは五臓六腑そのもの、

とも捉えることができます。


三焦は全ての臓と連絡し合い、

関与し合っているということですね。



さておき…

手少陽三焦経の流れの話にしましょう。


薬指の末端(関衝穴)から始まり、手の甲を上って

手首の背面中央の陽池穴を通ります。

そのまま前腕の背面を上り、

肘を通過し、上腕の背面を上り、

肩から鎖骨付近にまで出ます。

この図にはありませんが…

この鎖骨のところで枝分かれして、

一つは頸部を上り、側頭部を通って耳に入り、

再び出て、目の外眦(そとまなじり)で

足少陽胆経に連絡して終わります。

先ほど別れたものは、胸に入り、

膻中(気の集まるところ)に至って、

先述した水道でもある三焦に至ります。


耳の疾患(難聴内耳炎中耳炎)、

顔面神経麻痺などの症状にも

この手少陽三焦経上のツボを使用することがあります。


その他、

水分代謝を主る腑であるわけですから、

そういった水分代謝の

不足からくる浮腫みや尿の問題など…。


また膻中に入っているわけですから、

気の問題からくる疾患、症状にも

応用できそうですよね。


その他もたくさんありますが…

言い出すとキリがないので…笑

大雑把に紹介させていただきました。


ひとまず、三焦というものは

「名ありて形なし」と

表現されることもあるのですが、

まさに概念チックなところが多く、

理解し難い面もあると思うのですが…


東洋医学はいかに

『生命』というものにフォーカスしているか…

ということがわかっていただけると幸いですね。


病を視るのではなく、人を視る…

さらにはその人の生命そのもの

捉える医学なわけですね。

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鍼灸 縁庵

住所:大阪府茨木市永代町6-19 近藤ビル402

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