お灸の歴史概略 ~古代中国から現代日本へ~

query_builder 2025/05/06
東洋医学自律神経体質改善
縁庵 お灸セット

「お灸って、おじいちゃんやおばあちゃんがやってるイメージ……」
「煙が出るし熱そうでちょっと怖い……」
「火傷するんじゃないか?」
そんなイメージ、ありませんか?

現代では、リラクゼーションや冷え対策として

「セルフお灸」がブームになっている一方で、
そもそも「お灸とは何か」をちゃんと知っている人は、
意外と少ないのではないでしょうか。

実は、お灸も鍼と一緒で
数千年の歴史をもつ伝統医療の一つです。
単なる「温める健康法」ではなく、
身体の内側に働きかける本格的な治療技術でもあります。

「え、そんなに昔からあったの?」と思った方、

実は…お灸は紀元前の古代中国までさかのぼるほど

深い歴史のある治療法なのです。


【起源】中国での発祥(紀元前〜)


何度か私のブログにも登場している
紀元前からの古典、

『黄帝内経(こうていだいけい)』において、
すでに「灸(きゅう)」の記載があり、

特に寒邪を取り除く手段として重要視されていました。


『黄帝内経・素問』「異法方宜論篇」
「藏寒生滿病.其治宜灸焫.」
訳:内臓が冷えてお腹が脹満するような病には灸治療が宜しい


さらに、「火で温めること」は

生命エネルギー(気)を補うとされ、

鍼と並んで「灸法」も重要な治療法とされてきました。


数千年前の技術が今もなお生き続けている──
そう考えると、

なんともロマンを感じずにはいられません。


【日本伝来】6世紀頃:仏教・漢方とともに伝来

灸法は、仏教・漢方医学とともに

中国から朝鮮半島を経由して伝来しました。


漢方の歴史も面白いので、

次回から触れていきたいと思います。


奈良時代には、以前の記事でも紹介しました

『医心方』(984年)に灸法の記述も鍼と共に見られ、

宮廷医療として使用されていました。


該当記事はこちら

鍼はどうやって日本に伝わったの?―東洋医学が日本で花開くまで


そして、あの俳人

松尾芭蕉も旅の中で

「足三里(あしさんり)に灸を据えていた」

ということをご存じでしょうか?

芭蕉が足三里に灸をすえていた記述は、

実際に『おくのほそ道』の旅立ち直後、

日光街道を進む場面に登場します。
「三里に灸すゆるより、松島の月まづ心にかかりて……」
彼にとって灸は、

旅路を支える“日々の養生”だったのです。

長旅の疲れを癒し、健康を保つために、

毎日足三里に灸をすえていたというのです。


まさに、お灸は「旅の必需品」であり

「自分の体を整える日課」でもあったのです。


江戸時代には庶民の間で大流行し、

貝原益軒(かいばらえきけん)の

『養生訓』にも登場するほど有名です。
「三里に灸すれば百歳まで生きる」
ということわざもあるほど、

暮らしの中にしっかり根づいていた伝統養生法なのです。


【明治以降】西洋医学の台頭と灸の衰退

これも以前の記事に綴りましたが、

明治時代には、西洋医学が国策として推奨され、

鍼灸を含む東洋医学は一時「非科学的」とされ、

制度上も制限されました。


当時、戦争をしていた日本において

応急処置で負傷人の治療を素早く行うことができる

西洋医学が重宝されたわけです。


しかし、庶民の間では灸は安価で効果的な治療法として継続的に使用されていました。


この庶民間で根強く残っていた信頼、

確かな臨床的効果による伝統医学に対する想いの灯火が、

後々の大正〜昭和時代に東洋医学が徐々に息を吹き返すためのきっかけとなったのです。


今じゃ、当たり前のように施術をしていますが

本当はありがたい話なのです。感謝。


【戦後〜現代】再評価と統合医療への流れ

そんなお灸ですが、近年では科学的な研究が進み、
血流改善、免疫賦活、自律神経調整などの効果が明らかになりつつあります。

そして何より、お灸は

「誰でも」「家庭で」できるセルフケアとしても優れているのです。
※実際、患者さんによってはセルフケアでお灸を勧める場合がございます。

道具も簡単、
使い方もやさしく、
そして心地よい。
お灸は、現代人にとって必要でもあり
手軽に始められる“温める医術”
なのかもしれません。
(体質によってはお灸が合わない場合もございますので注意!)

当院では、伝統的なもぐさを手でひねる

「透熱灸」や「知熱灸」をベースに、
一人ひとりの体質・症状に応じたお灸を行っています。

● 冷えがなかなか取れない
● 自律神経が乱れている気がする
● 少し風邪っぽいかも?

といったお悩みには、

お灸が効果的なこともあります。


逆子の症例などでは、

施灸直後に胎動が強まることも多く、
自然の力を実感できる瞬間です。


お灸って面白いですよ。



当院では患者さんの要望もあり、

店頭でお灸の販売も行うようにします。


自宅でも煙を気にせずに済む

スモークレスの台座灸や、

匂いが気になる人向けの

アロマ灸などを取り扱おうと検討しています。


当院は1人1人を弁証論治(体質把握)しますので

その方々にあうツボをお伝えします。


より安全に、安心してセルフケアを行えるようにし、

日頃からご自身のお身体を労ってあげてくださいね。

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鍼灸 縁庵

住所:大阪府茨木市永代町6-19 近藤ビル402

電話番号:090-3890-4915

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