五臓六腑〜肝の臓〜

query_builder 2023/06/15
茨木_鍼灸東洋医学自律神経
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前回は五臓六腑の概念について、

東洋医学の蔵象学と、西洋医学の内臓学の考え方の違いについて綴りました。


五臓六腑について〜西洋医学の内臓学との違い〜


今回からは各論ですね。

五臓六腑の…五臓。

肝・心・脾・肺・腎の話をしていきます。


まずは肝の臓からいきたいと思います。



【肝の臓とは?肝臓(Liver)との違い】


まず、『肝』という漢字。


”月(肉月)”に”干”と書きます。


この『干』は『幹(みき)』という意味合いがあります。


つまり、”肉体の幹”となる臓器。

ここから既に重要性が分かるかと思います。


実際に肝の病証は臨床上でもかなり多いですね。

その理由はまた後ほど。



肝には気を巡らせる作用があります。

これを疏泄(そせつ)や条達(じょうたつ)と言ったりします。


東洋医学の思想の1つである、五行学説では

肝は木の属性があると考え、

これを肝木(かんぼく)と言ったりするのですが、


木が枝葉をのびのびと伸ばすように、

肝の状態が正常であれば

気は身体中を上手く巡ることができます。


また、肝の臓は「将軍の官」ともいわれ、

外邪と戦う、抵抗する作用があります。

外邪(外部の刺激)が襲ってきたら…

「いけーっ!」というように

正気を突っ張らせて闘うわけですね。

これが”気を張る”ってやつですね。笑



気を張っている間は闘えるのです。

だから…仕事を普段、頑張っていて

ようやく休みだ〜!!

と、気が緩んだ際に体調を崩す方…

いらっしゃいますよね?

年末年始に疲れがドッとでる…とか。



緊張状態が強い、気を張り詰めっぱなしの状態は

まさに肝への負担が大きいわけです…。


だから気が緩んだ際の反動が大きいわけですね。


そして肝の臓は血を溜め込む作用があります。


これを蔵血作用というのですが…

これは西洋医学のLiverとリンクする部分がありますね。


肝の臓は筋(筋肉や腱)、眼、爪、髪などの器官と関連が深く、


血をしっかりと溜め込めていると肝の臓は生き生きとして

これらの器官をしっかりと養うことができます。


例えば…女性であれば、

出産の際に大量に出血しますよね?


産後に…

腱鞘炎になりやすい、手足を攣りやすい…

視力が低下した、爪が柔らかくなった、爪が薄くなった、

髪がぱさつくようになった、抜け毛が増えた…などなど

こういったこと、耳にしたことはありませんか?


まさに出血することで、

肝の臓が機能低下を起こしたが故に出てきた症状です。


逆も然りです。


眼をずっと使っていると肝血の消耗に繋がりますし、

私のようにずっと走って、

筋肉や腱を酷使し続けるのも肝血を消耗します。


特に現代人はPCやスマホが当たり前となり、

目を使うことが増えました。

目を使って肝血を消耗し、肝血が不足するが故に目を養えない…

というように悪循環になってしまっているわけですね。

これが慢性的な眼精疲労の原因だったりもします。



【肝の五志は”怒”】

五臓はそれそれ、ある感情を司ります。

肝の臓は”怒り”です。

プンプン怒ったり、ずっとイライラしていたり…

そんなことをしていると肝の臓への負担が大きくなってしまいます。


また、東洋医学は昔からの中国の医学です。

漢字の形が似ていると…意味合いも近くなったりします。



『怒』≒『努』



そう、努める。

努めすぎる…つまり頑張りすぎるのも肝への負担となるわけです。


先程言った、”気の張り詰めっぱなし状態”ということですね。


現代人…というよりは日本には多いんじゃないでしょうか…。



日本人の働きすぎ問題。笑




その原因は、「有給取得率が低いから」だとか、

「日本人の勤勉な性質だ」とか言われたりしますが…


私は時事問題までは詳しくないので…

興味ある方は調べてみてください。笑



まぁ、それはおいといて…

頑張りすぎるのも毒ですよ〜ってことです。



こうして、肝木がのびのびできずに気の循環が悪くなることを

「肝気鬱結(かんきうっけつ)」といいます。


肝気鬱結が原因で、

どこかしらに気の停滞が発生してしまうことを

「肝鬱気滞(かんうつきたい)」といいます。


気が滞れば、気の作用が正常に働かなくなり、

様々な問題が発生します。


これが引き金となって様々な病理・症状を引き起こすのです。


気の作用については過去の記事に書いております

気とはなにか?〜東洋医学の概念と鍼灸の役目〜



冒頭でも言ったように臨床上で肝病証が多い由縁は、

こういったことがあるからなのです。


患者さんの9割は肝の問題が絡んできておりますね。


こういったことからも、

肝の臓は西洋医学で言う、

自律神経系に近しい働きもするわけですね。


ストレス性の肩こりや腰痛などの痛み関係や…

ストレス性の食欲低下、或いは食欲亢進、消化器系の不調…

うつ病や神経症などの精神疾患系…などなど


言い出すとキリがありませんが…笑


やはり気が滞らぬように適度に運動し、

気持ちを和やかに保ち、

生き生きと生活することが養生になります。



”頑張り過ぎ”を自覚しない人もたくさんいらっしゃいますが、

これが面白いことに、

鍼灸に通って頂く中で、症状が緩解するばかりか

身体に、心にゆとりができます。


そうすると自分の状態を理解して

コントロールができるようにもなるのです。


逆に、動けるようになった!

と、嬉しくてつい無理をしてしまう人もいらっしゃるのですが…



全員に共通して言える合言葉は…



「程よく、息抜きをする」



これ、お忘れなくです…(^ ^;)





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鍼灸 縁庵

住所:大阪府茨木市永代町6-19 近藤ビル402

電話番号:090-3890-4915

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