くしゃみ(噴嚏)のメカニズム《現代医学・東洋医学の両視点で》

query_builder 2025/03/27
茨木_鍼灸東洋医学自律神経
くしゃみ 墳嚏 イラスト

花粉症についての記事は過去に綴っていますが

花粉症の東洋医学的見解 鍼灸は効くのか?

花粉症の東洋医学的見解 鍼灸・漢方が効く

鼻水などの反応のメカニズムは書いたものの…

そういえば”くしゃみ”についてはあまり触れていなかったな…

と思ったので今回記事にしました。


花粉症でない方もくしゃみをことはあると思いますので

是非、ご一読ください。笑


【くしゃみのメカニズム】

くしゃみは、異物や刺激物が鼻の粘膜を刺激した際に

発生する生体の防御反応です。


発生の流れとしては

  1. 刺激の感知 •鼻粘膜がホコリ、花粉、ウイルス、
    冷気、香辛料などの刺激を受けることで
    三叉神経(さんさしんけい)が刺激を脳の延髄に伝達。
  2. 延髄の「くしゃみ中枢」から呼吸器筋などに指令を出す。
  3. くしゃみの実行 
    ・呼吸筋を緊張(収縮)させ、吸気する。
    ・緊張が一気に緩むことで空気が勢いよく押し出される(噴出)

つまりくしゃみが出るのは

生体防御反応としての”反射”なのです。


※くしゃみは体内の異物を排出するための

 重要な生理現象ですが…

 飛沫感染の原因にもなるため、マナーとして

 手や肘で口を覆いましょうね。笑


花粉症とくしゃみの関係

花粉症は、花粉に対するアレルギー反応であり、

過去にも書いておりますがくしゃみはそのうちの代表的な症状の一つ。

くしゃみは体を守る防御反応ですが、

花粉症では過剰に反応してしまうため、頻繁にくしゃみが出るのが特徴です。


花粉症の場合のくしゃみが出る仕組みは…

  1.  花粉が鼻粘膜に付着。
  2. 免疫システムが「異物」と誤認し、IgE抗体を作る。
  3. 再び花粉が侵入すると、
    肥満細胞からヒスタミンなどの化学物質が放出される。
  4. ヒスタミンが神経を刺激し、くしゃみの反射が起こる。
  5. 強制的に花粉を体外へ排出しようとする

花粉症のくしゃみは連発しやすいのが特徴ですね。

これは、鼻粘膜が過敏になり、

少量の花粉でもすぐに反応してしまうためです。


基本的には

・花粉を体外へ出す

・鼻の浄化作用(粘液が分泌され、花粉を洗い流す)

・気道を守る

ような自己防衛の自然な現象ですが…


• 過剰なくしゃみで疲れる(呼吸筋の負担が増す)

• 飛沫で周囲に広がる(感染症とは異なるが、マナーとして注意)

• 鼻の粘膜が炎症を起こし、さらに敏感になる(悪循環に陥る)

といったデメリットもあります。


予防としては…

・マスクを着用(吸い込む花粉を減らす)

・鼻うがいをする(鼻腔の花粉を洗い流す)

・加湿する(乾燥を防ぎ、粘膜を守る)

・抗アレルギー薬を活用(ヒスタミンの働きを抑える)

・東洋医学的アプローチ(鍼灸や漢方で体質改善)


などで対応ができるかと思います。

(最近では黄砂やPM2.5などの影響により、

一段と症状がきつくなりかねないので

上記のような予防も必要だと思います。

あと過去にも綴っていますが食事内容も気をつけましょうね!)


では、東洋医学的にどのように捉えるのか?

ということを解説してきます。


【東洋医学におけるくしゃみ(噴嚏)のメカニズム】

東洋医学では、くしゃみのことを『噴嚏(ふんてい)』といいます。


ここでちょっと漢字の説明を…

:吹き出す、という意味があります。

:「口」+「疐(つまずく)」から成る漢字で、

  急に出る反射的な動作を表しています。


つまり、「噴嚏」は、急に吹き出すような
くしゃみの動作を的確に表した言葉なのです。


東洋医学でも噴嚏は邪気(外邪)を体外へ排出する

生理的な防御反応と考えられています。

特に「風邪(ふうじゃ)」や「寒邪(かんじゃ)」が

肺や衛気(えき) に影響を与えることで発生すると言われています。

衛気:体表の表面を流れ、身体を守っている(防御している)気。


 以下が東洋医学的メカニズムです。

  1. 衛気の関与
    衛気には「肺」と「腎」の臓と特に深い関係があります。

    この衛気が強いと、外邪(風邪・寒邪)が侵入しにくくなり

    衛気が弱まると、風邪や花粉などの影響も受けやすいと考えます。 
    いわゆる現代医学でいう免疫などに相当するものでしょう。

    腎気によって衛気が生成され、
    肺気によって体表へと張り巡らされるのです。
    つまり、腎が弱って衛気の絶対量が減るのも問題ですし、肺が弱って衛気を全身に巡らせられないのも問題です。
  2. 肺臓の生理機能
    東洋医学では「肺は鼻に開竅(かいきょう)する」といわれ、
    肺の状態が鼻の機能に影響を与えると考えます。
    つまり肺気が正常に巡っていれば、鼻の通りが良くなり、
    肺気が乱れると、鼻づまりやくしゃみが起こると考えます。
    これは肺の宣発・粛降(気や陰分を持ち上げ、全身に布散する)機能
    が関係しているわけですね。
    特に宣発が過剰に働くことにより
    (これは前の記事にも書いていますが肝気逆の影響を受けることが多いです)、
    くしゃみが起こるわけですね。

つまり噴嚏は、

・外邪を追い出すために衛気が働いて身体を守る防御反応

表実証

・肝気逆により肺気が乱され、宣発作用が異常を起こす状態

肝気犯肺証(裏実証)

・腎気や肺気不足により衛気の働きが弱まり、外邪が侵入し
 肺の機能が低下した状態(により鼻竅に影響が出る)。

表虚証

・肺気不足が強く、そもそも肺の機能が低下している状態

肺虚証(裏虚証)


などに分類されます。


まずは外邪(風邪・寒邪)の影響があるのかどうかで

表証(カゼ症候群のようなもの)なのか、

裏証(外邪が関与していない状態)なのかを

見極める必要がありますね。


そこを見極め、弁別することで

鍼灸なり、漢方なり、食養生なり…

アプローチしていくことができます。


もうお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが…


このメカニズムを把握していれば、

カゼ症候群への対処もできるということなんです。


中国の古典である傷寒論には

ずら〜っと様々なカゼの症状への対処の仕方が書いています。


少し前に私がSNSでカゼの施術の話をチラッと書いたのですが…

見ず知らずの人にバカにされ、晒されましたね。笑


まぁ、匿名性の高いSNSでしか喚けない心の小さい人間には興味はないし、
どう思われようが
どうでもいいので放置しましたが…笑

晒しているのは自身の無知ですのにね ( ̄▽ ̄)

突っかかるなら勉強してからにしましょう。


ところで、昔は“くさめ”と呼ばれていたくしゃみですが、

いつから“くしゃみ”という言葉になったのでしょうか?


次回はその語源について掘り下げてみますので、お楽しみに!

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鍼灸 縁庵

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