五臓と五神について〜精神と身体の密接な関係〜

query_builder 2023/05/01
茨木_鍼灸東洋医学
IMG_7220

日本の医学は大きく分けて

西洋医学と東洋医学があります。

さらにそこから細かく分けていくところに…


日本の鍼灸があります(当院は中医学ベースで考えますが、日本の古典や鍼灸会の偉人達の考えを取り入れて、現代日本人に合った所謂、”日本鍼灸”とでも言えましょうか)。


そこまで細かく話しても専門的すぎるので(笑)

西洋医学と東洋医学の違いについて、

東洋医学はそんな考え方をするんだなぁ、と

少しでも理解していただけると幸いです。


当院では第2〜3診回目の施術後に、

その方の現状のお身体についての説明を

チャート図で見える化して行うのですが…

その際にいつも話す内容も少々含まれています。



【東洋医学と西洋医学の違いは?】

東洋医学は蔵象学という〈五臓六腑〉(染み渡るやつですね。笑)を

身体の要として考える学説があります。

西洋医学の解剖学と大きく違うのは、

それぞれの臓腑はただの内臓として個々に働いているだけではなく、

骨や筋肉、皮膚などの器官や組織にも関与しており、

更には精神面にも影響している、というところです。

各臓腑はそれぞれ深く関係する感情がある、と考えるわけです。


これらの臓腑が問題なく、正常に働いていれば

心も身体も元気に!!

っていうことですね。


では、五臓六腑…その内訳を説明していきます。


五臓

・肝…気温流れを調整し、筋肉や眼、爪などの器官を栄養しています。

   主る精神の働きは『魂(こん)』であり、感情は『怒』です


・心…主に血液循環、精神的な活動を調節する。

   主る精神の働きは「神(しん)」で、感情は『喜』です


・脾…主に飲食物を人体の有益なエネルギー(水穀の精微)に変え、気・血・津液(水)として運搬する。

   四肢(腕・脚)や肌肉と関連を持ち、

   主る精神の働きは『意・智(い・ち)』で、感情は『思』です。


・肺…主に呼吸を調整し、気を拡散させたり下に降ろしたりして全身に送っている。

   また水の流れにも関与し、鼻や皮膚表面の機能に関連を持ちます。

   主る精神の働きは『魄(はく)』、感情は『憂、悲』です。


・腎…精を蓄え、成長・発育・生殖と尿機能を促進し、骨と髄の状態を維持します。

   脳や耳とも密接に関連します。主る精神状態は『志』で、感情は『驚・恐』です。


こうしてみると、西洋医学とはそもそもの概念が違うということがわかるかと思います。


なので、

例えば”肝病証”や”腎が弱い”という言い方をしたとしても

=西洋医学で言う肝臓(Liver)が悪い、腎臓(Kidney)が悪い、

 ということでは決してありませんのでご注意を。


さてさて、東洋医学における臓器…五臓が

それぞれの精神状態と感情と関連を持つことがわかったと思いますが…

今回は前者、精神状態のほうについて詳しく解説していこうと思います。


【五神と五臓:精神との関係】

先程説明した五臓が関与する精神の働き〈魂・神・意智・魄・志〉。

これらを五神と言います。


なかでも心の臓は各臓のトップに立ち、『君主の官』とも言われています。

心の臓は『神』を宿します。

これを心神(しんしん)と言いますが、

心神が魂、魄、意智、志などのあらゆる精神活動を統率しています。

故に心神が安定していなければ、精神状態のバランスが崩れ、情緒不安定になります。

自律神経失調症などの自律神経系の話であったり、精神疾患であったり…

そういった病はこの五神レベルの問題でもあるといえるかと思います。


では、この五神の細かい働きをみていきましょう。


(心)神…あらゆる精神活動の総元締め。

   故に神がしっかり機能していないと心の臓の病理を起こすだけではなく、

   他の臓腑の機能にまで影響を及ぼすことがある。


(肝)魂…ポジティブな精神、忍耐など。

   神よりも次元の低い精神活動を主ります。睡眠や夢などと関与。

   うなされたり、変な夢をよく見る…などは魂が安定していない、と考えます。


(脾)意・智…物事をあれこれ思慮する。

   思考やアイデアを形づくうるための活動や力。

   暴飲暴食で脾胃を損傷すると思考力が落ちやすく、食後に頭がボーッとして眠気が強く出る…

   なんてことは経験したことがあるのではないでしょうか?


(肺)魄…本能的感覚、無条件反射などに関与。

   痒い・痛い・痺れ・気持ちがいい、悪いなどの感覚的な部分の他、

   熱いものにてお触れて瞬時に手を引っ込める、

   飛んできた虫に対して無意識に眼を閉じるなどの反射的な動作を主っている。


(腎)志…やりとげようとする精神。

   根気。強い意志、記憶力、想念の持続力…こういった精神的なパワーのことです。


それぞれがこのような働きをしているのですが、

これら五神が正常に働くためにはそもそもの五臓の機能が安定している必要があります。


逆に…

この五神の弱った状態に当てはまる場合は、

その対応する五臓の弱りあるのではないか?

というふうに見立てることができます。


では、次に七情でみていきましょう。


【七情と五臓:感情と身体の関係】

七情というのは文字どおり7つの感情です。

先程も述べたものを纏めますと…

『怒・喜・思・憂・悲・驚・恐』です。

これを五臓に当てはめると…


肝ー怒、心ー喜、脾ー思、肺ー憂・悲、腎ー驚・恐


となります。


五臓はそれぞれ感情を主るわけですが、

これが過度になると、その対応する臓(及び腑)に負担をかけちゃいます。


例えば…

プンスカ怒ってばかりいれば肝に負担をかけるであろうし、

あれこれとどうしようもないことをクヨクヨ考え事ばかりしていると脾を傷めます。

あとは急激に驚いたり、恐れたりすると腎を傷めます。


五臓を傷めると、その臓に対応した症状が現れるわけです。


上記でいうと…

〈肝〉を傷め続けるとイライラしやすい、めまいが起こる、頭痛がする…erc

〈脾〉を傷め続けると落ち込みやすい(うつ病)、腹痛・下痢、食欲不振…etc

〈腎〉を傷め続けると根気がない、失禁(尿もれ)、陽萎(インポテンツ)、慢性的に腰膝がだるい…etc


これ以外にもたくさんありますが…まぁこういった感じです。


五神でも話したように、全ての統率は君主の官である〈心〉が行うため、心の七情は”喜”でありますが…

どの感情の大きな変動でも〈心〉は結局は影響を受けます。


ですので、どのベクトルからも過度となれば…

〈心〉の特徴でもある不眠、動悸、息苦しい、心煩(胸がソワソワする)…etc

が出てくると言えます。

ただ、どの臓腑と関連しあっているかによって、

これらの症状の出現の仕方、誘発因子が異なってきたりするので

そこを見極めて「どの臓腑から波及したものか?」を推測するわけです。


動悸→○○のお薬

不眠→△△のお薬


と、その症状だけを診て判断してわいけないということですね。

その”内容・内訳”をみるのです。

もっといえばその人自身のこと(性格や体質)、

さらにはその人を取り巻く環境(生活スタイル・衣食住など)から診ていくのです。


だから…

うちはそれらを根本的に理解するために

長い長い問診を取るわけですね(笑)


ほんと、めちゃくちゃ大事なのですよ。


と、少し脱線してしまいましたが…

感情(ストレス因子)が身体の不調に影響している、

という話は最近になっって西洋医学でもされるようになってきたので

こういった話も受け入れいてくださる方が増えてきたかと思います。


そこを単に”ストレス”で片付けるのではなく、

「私のストレスは○○の感情が強いかな?」

と自己分析すのも面白いかもしれませんね。


因みに当院の予診票には

そのような記載をしてもらう箇所があります。


これ、なんの意味??


と疑問符をつけていた方は

これでスッキリしたのではないでしょうか?笑



----------------------------------------------------------------------

鍼灸 縁庵

住所:大阪府茨木市永代町6-19 近藤ビル402

電話番号:090-3890-4915

----------------------------------------------------------------------

NEW

VIEW MORE

CATEGORY

ARCHIVE

TAG