津液(しんえき)〜東洋医学で視る体液の役目〜

query_builder 2023/06/02
茨木_鍼灸東洋医学
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さて、今回は気・血・津液(水)シリーズ


最後の津液についていきます。


気と血についてはこちらからどうぞ。


気→気とはなにか?〜東洋医学の概念と鍼灸の役目〜 



血→血(けつ)〜東洋医学の視点で視る血液〜


津液とは前回にも書いたように

人体の、血以外の液体のことを示します。


関節液であったり、組織液であったり…

体液全般です。


気は血にもなるし、津液にもなるし…

血は気にもなるし、津液にもなるし…

津液は気にもなるし、血にもなるし…


気・血・津液はそれぞれが常に変化しあうことで、

調和を保っています。


津液は気の温煦作用により温められることで(特に腎の陽気)

蒸騰され、気へと変化します。

(液体が蒸発して、蒸気になるようなイメージです)


陰の働きから、陽の働きへと変化します。


これは水液代謝が活発になり、

全身の巡りが調和されていることを示していますね。


この蒸騰気化によって、

余分な津液が汗や尿・便として排泄されたり、

もしくは制御したり…

このような働きは『開闔(かいごう)』とよばれます。

「開」は排泄を、「闔」は排出せずに貯蔵することを意味します。

この開と闔のバランスによって体液の平衡は維持されます。


この開闔作用が上手くいかないと、

余分な水分が体内に停滞し、

浮腫み、関節浮腫、排尿障害、発汗過多あるいはできない…などなど

様々な不調を引き起こすことになります。



【津液を分別すると…】

津液は、「津」と「液」に分けることが出来ます。


・津…気血とともに循環する液体。

   さらさらとした性質が特徴で、

   涙・唾・小便・汗など体表や体外にでるもの。


・液…九竅(両目・両耳・両鼻・口・尿道口・肛門=人体の九つの穴)

   内臓・関節腔・頭蓋腔に蓄えられている粘稠な液体のこと。

   体内に有り生理的機能を果たす。


以上のように、分別されます。


津液は身体内を常に潤し、循環するわけですが、

その中で不必要な、余分な水分も発生するわけです。


清純な、必要な水分を『清(せい)』といい、

不必要な余分な水分を『濁(だく)』といいます。


飲食物が胃に入り、水穀の精微をこし出した後に

残ったものは小腸へ送られます。

小腸で清と濁に分別され、清は脾の臓へと送られ、

一度上部に持ち上げられた後に肺の力を借りて全身へと散布されます。

小腸で分けられて残った濁は大腸へ送られます。


更にその濁から津液が吸収され、

残った濁が膀胱の腑へと送られ、尿として排出されます。


東洋医学の古典である『黄帝内経・素問』逆調論篇

「腎物水蔵.主津液」とあるように、

腎の臓は津液の生成から代謝まで全てにおいて関与し、

特に腎陽の温煦による蒸騰気化による働きが最も大きい。


故に腎の臓は上記にあるように”水の蔵”ともいわれます。


津液は、気の推動作用によって全身くまなく循環し、

全身を潤しながら営養しています。


水=陰なわけですから、熱を冷ます(陽を抑える)効果もあり、

これにより陰陽の平衡を保ちます。

ex)夏の暑さで身体に熱が篭るのを防ぐために発汗して

  身体内の熱を漏らして身体を冷ます。


また、”津血同源”といって血の重要成分となり、血脉を補充しています。


これらにより、津液には腎の臓だけでなく、

血の循環を主る心の臓、全身の気の働きを伸びやかにする肝の臓も

津液代謝に関与している、ということがわかりますね。



【津液の病理産物”痰飲”】

津液が何らかの影響で病理産物に変化すると、

それは『痰飲(たんいん)』と呼ばれるようになります。


痰…津液が熱せられて水分が飛んで凝縮し、

粘っこくなったものが主。飲が進行して形成されるものもある。


飲…停滞した津液が冷やされ、余分となったもの。

稀薄でサラサラしている。


これら痰飲が停滞することにより、

様々な病変を引き起こすことがあります。


喉の異物感・閉塞感、身体の浮腫み、食欲不振、湿疹などなど…


酷いものだと癲癇症状を起こすこともあります。


痰飲が関与する症状は西洋医学では原因不明の病気や

治りにくい病気と言われることが特に多いと思います。


あと、最近多いのが若年層によくみられる起立性調節障害!


これも臨床上、痰飲が絡んできているものが多いように思いますね。


コロナ禍に入り…

家に篭ることが増え、

身体を動かす機会が減ったのもあってか、

ここ数年で本当に増えたように思います。



あまり馴染みのない言葉かもしれないので

(昔はこういったものは少なかったでしょうし…)

少し、解説を。



【起立性調節障害とは?】


起立性調節障害(OD)は中学生の1割に存在すると言われおり、
小学生から大人まで誰もが疾患する可能性のある病気です。
しかし、見た目では分かりにくい病気のため、
周囲から理解されず「ただのサボり癖では?」と
思われることが多々あります。
まずは親御さん自身が起立性調節障害について理解し、
目の前の現状をサボり癖や怠けと考えないことが大切です。
―一般社団法人 小児心身医学会



とのことです。


症状としては…

・寝つき、寝起きが悪い

・倦怠感がある

・頭痛や腹痛など身体の痛みを伴う

・立ちくらみがよく起こる

・動悸や息切れ

・体調を崩してないが発熱がある

・集中力が続かない…etc


とまぁ、他にもたくさんの不調があるようで

どんな症状が出るかは人それぞれ…


先程、若年層に多いと言いましたが、

大人でも起こりうる疾病です。


私もこれを主訴に来られる方を診てきましたが…

病院へ行くと対処法としては

やはりお薬になってしまうようですね。

中には漢方も処方される場合もあります。


その場合だと、第一選択肢として

・苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)

が多いようですね。


その他、伏苓沢瀉湯や五苓散など…


鍼灸施術を勧めていく上で

漢方の服用情報もかなり重要です。


どれが効いて、どれが効かないのか…


東洋医学がベースなのは同じですから、

情報としては非常にありがたいですね、


鍼灸と併用することで、

より症状の改善へブーストをかけられるかと思います。



…と少し話がそれましたが。


この津液…つまり身体内の水分。


早くも全国的に梅雨入りもしましたし…

ジメジメと外湿が多い環境になってきます。


身体内に水分(内湿)が多い状況だと、

より、外湿の影響も受けやすくなりますので…


上手く発散できるように、

雨ではない日や降っていない時間帯を狙って、

是非、一汗かくような運動をしてみてくださいね。


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鍼灸 縁庵

住所:大阪府茨木市永代町6-19 近藤ビル402

電話番号:090-3890-4915

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