五臓六腑〜大腸の腑〜

query_builder 2023/09/15
茨木_鍼灸東洋医学自律神経
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東洋医学の蔵象学と、

西洋医学の内臓学の考え方の違いについて。

現在は六腑シリーズでこれまで

『胆』『小腸』『胃』の3つの腑について綴りました。


五臓六腑〜胆の腑〜

五臓六腑〜小腸の腑〜

五臓六腑〜胃の腑〜


そしてようやく後半戦?笑

次は大腸の腑について綴っていきます。


ここまで読んでくださっている方は…

五蔵に比べると、六腑は

割と西洋医学に考え方が近い、と感じているかと思います。


大腸に関してもそうですね。

東洋医学でも消化されてきた残渣物を受けて、

排出する働きをする、という考えです。


ただやはり、それだけではないので

またまたその面を掘り下げていこうと思います。


ではでは…いきましょう。



【大腸の腑 西洋医学の視点と東洋医学の視点】

まずは西洋医学でみる大腸は…

・水分やミネラルを吸収して糞便を形成。

・糞便が直腸まで到達すると肛門より排泄する。


主にこの2つになります。


大腸が分泌する大腸液には消化酵素が含まれておらず、

物質の分解は大腸菌をはじめとする常在菌の発酵作用により、

吸収可能なミネラルにまで変換させて吸収します。


残渣物を排泄する器官というのは東洋医学でも同じ考えですね。



黄帝内経・素問ー霊蘭秘典論篇「大腸者.傳導之官.變化出焉.」


”伝道の官”というのは輸送する、という意味です。

つまり、変化させながら輸送する、ということですね。


大腸は、西洋医学ではぐるっと渦を巻いたような形状ですが…

東洋医学ではクネクネ折りたたまれているような形になっています。


〈類経図翼〉より



そして五臓六腑はそれぞれ表裏関係にあり対になる臓腑があるのですが、

大腸の対になるのは肺の臓です。


肺には粛降作用という、気を下に引き降ろす作用があるのですが…

五臓六腑〜肺の臓〜


この作用によって大腸の腑も滞りなく、下へ下へと運ばれて、

やがて排泄する…という形をとっているのですね。


つまり、カゼを引いて便秘傾向になってしまうものは、

肺の粛降作用が低下することで、大腸の働きも弱まり、

下へと運べなくなってしまうから、と言えますね。


また、大腸の所属経絡は『手陽明大腸経』といいます。


〈類経図翼〉より


手の人差し指から始まり、前腕の外側、肘、上腕の外側を通って

首から顔面へと上り(ここで枝分かれし他ものが大腸へと繋がります)、

頬から下歯に入り、再び出てきて反対側の鼻翼付近にまで到達します。


胃と同じ”陽明(ようめい)”ですので熱が篭りやすい場所でもあります。

このことから経絡を鑑みても下の歯の痛みや腫れ、出血などにも関与し、

蓄膿などにも関与する可能性があることがわかりますね。


そしてこの手陽明大腸経の原穴

(五臓六腑の反応が現れ、それぞれの経絡を統べるツボ)は

有名な”合谷(ごうこく)”というツボになります。


この合谷というツボは、俗に『万能のツボ』と比喩されることがありますが、

これは気を動かすのに長けているからです。


これは”気”そのものと関連の深い臓である、肺と表裏関係にありつつ、

である肺臓よりも、である大腸腑の方がより気を動かしやすい、

という理由があります。

(相対的に五臓は陰であり、六腑は陽です)



気の滞りは、現代で言うと運動不足やストレスなどから生じることが多いのですが…

これが原因となって病を発症している人は非常に多いです。


気の滞りによって

肩こり、頭痛、便秘、腰痛、倦怠感、冷え性、自律神経がどうやら…などなど

そういったものが起こることも多いですので、

合谷を使うことによって、気の回りが良くなり、改善傾向へと導く…


故に万能だと評されているのでしょう。


だから、全く別のものが原因で出ている症状であれば…

やはり効くわけがないんです。笑


そこはしっかりと弁証論治(べんしょうろんち)して

病の性質を見極めないといけないですね。


本当に万能薬や万能のツボ、なんていうものはありません。笑


そんなものあれば、この世に病なんてものありませんよね( ̄▽ ̄)

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鍼灸 縁庵

住所:大阪府茨木市永代町6-19 近藤ビル402

電話番号:090-3890-4915

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