五臓六腑〜肺の臓〜

query_builder 2023/07/15
茨木_鍼灸東洋医学
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五臓六腑のハナシ。

東洋医学の蔵象学、西洋医学の内臓学。

その考え方の違いについて…

現在は連続して投稿しております。


序章→五臓六腑について〜西洋医学の内臓学との違い〜


各論にはいり…

これまで肝、心、脾について綴りました。


肝→五臓六腑〜肝の臓〜

心→五臓六腑〜心の臓〜

脾→五臓六腑〜脾の臓〜

  五臓六腑〜脾の臓②〜


今回は肺の臓について。


…肺って違和感を感じますかね?

西洋医学では肺臓なんて言い方しませんもんね(笑)


まぁ、とにかく肺の話を今回はしていきます。



肺と言えば…やはり呼吸器ですよね。

これは東洋医学でもやはり、同じような考え方をします。


肺は左右にあって対を成していますが…

解剖をする習慣がなかった古代中国では、

機能面を中心に診た肺をシンボライズした図がまた面白いんです。




〈類経図翼〉より



気の葉っぱを逆さに向けたような形をしていますよね。

そして肺管と書かれている気管らしきものに

ぶら下がっている状態です。


昔の人は植物の葉が光合成を行い、

ガス交換をしていたということを知っていて…

恐らく人間の体内の肺の臓がガス交換の場になっていると考え、

それを呼吸と捉え、このように象ったのでしょう。


そして肺管と書いている横にある…九節という言葉。


この九という数字にも意味合いがあるのです。

古代中国の考え方では九は極みであり、奇数はであります。


つまり陽の極み。


それが意味するところは、肺臓は臓腑の中で最も天に近いもの。

最も高い位置に存在している

ということを示しています。

『素問・病能論』では

「肺者蔵之蓋也.」といっており、

肺を「華蓋(かがい)」とも言います。


これがまた後に説明することに

繋がってきますので覚えておいてください…。




【肺の臓とは?肺(lung)との違い】

先ほども綴ったように

肺の臓は呼吸や呼吸器の問題に関連してきます。

これは西洋、東洋どちらも同じ考えです。

肺は一番高いところに位置する

=つまり浅いところを支配しています。


器官でいうと鼻や皮毛です。


「入通於肺.開竅於鼻.」ー素問 金匱真言論

「肺主身之皮毛.」ー素問 痿論


ここでいう”皮毛”というものは

皮膚・汗腺・産毛・粘膜などを包括しています。


現代では、例えばアトピー性皮膚炎なんかは、

原因の一つとして大気汚染の問題も考えられるのです。

汚染された大気に皮毛が傷られ、吸気しては肺を病み、

肺が病んでくるとまた皮膚を傷めて…という悪循環を起こします。


今はアトピー性皮膚炎で例えましたが…

他の皮膚疾患においても

最終的には肺の関与も考える必要があります。


逆に言えば皮膚状態を診ることで

肺の健康状態も把握することが可能とも言えます。

皮毛の密度が良く、締りがあって、

適度に潤い、艶があることが健康だと言え、

カサカサで毛穴が開き、艶も乏しければ

肺の異常を疑う可能性もあります。

(全てがそうではありませんが…確認すべき、ということです)


また、「肺は粛降を主る」とも言います。

『粛』は清らかにするという意味で、

『降』は下降ですね。


気と濁陰(不必要な水分)を降ろして代謝させます。

一番高いところに位置するからこそ行える役目ですね。


この気を引き降ろす作用が弱ってしまった場合…


例えば肝気が亢ぶって、

肺を侵襲すると「気逆咳」を起こします。


肝の問題がかかってくるので、

強いストレス負荷がかかると出現し、

なかなか治まりづらいのが特徴です。


人体の中の上下左右のベクトルって大事で、

私が身体のあちこちを診ているとき…

実はこのベクトル…いわば気の偏在を診ているのもあります。



【肺の五神は”魄”】

五神についてはこちら

五臓と五神について〜精神と身体の密接な関係〜


この『魄』というものは意識レベルでいうと、

より感覚的なものを主ります。


例えば…

・むず痒い、痛い、痺れ、気持ちが良い(悪い)などの感覚

・生まれながらに備わっている本能動作

・反射的動作

などが当てはまります。


これを肺魄(はいはく)といったりします。

魂とは相対し、肝魂はであるのに対して肺魄はです。


魂はポジティブな精神活動。忍耐などを主ります。

無意識下での精神活動(睡眠状態など)も関与します。


それに対して魄は、

気迫や気力、度胸など…さらに抽象的なものになります。


そして五臓には…

他の臓腑の話では言ってきませんでしたが

それぞれが主る色もあります。

肺の場合は”白”です。この色の話もまた面白いので

いつか『五色』という題名でブログにできればと思います。


今回は割愛して…とにかく肺は白です。

音読みでハク。

これまた『魄』との関連もありそうで面白いですね。


魄は感覚的なものを主る、と言いましたが…


華奢で色白で肌のキメが非常に細かい人は

感覚が過敏で気の流れが速いパターンが多いです。


スポーツをガンガンやって肌が日に焼けて、

肺も鍛えられているような人とはやはり訳が違いますね。


前者の場合はかなり丁重に鍼を行う、

及び刺さない鍼のほうが効果を上げることもよくあります。


こういったところも観察眼ですね。

東洋医学って本当に知恵が詰まって、面白いと思います。


逆に呼吸器疾患を患っている人は

適度に日にあたることで皮膚を鍛えることで

肺を養うことにつながると言えます。


まぁ、西洋医学的にも日光を浴びるとビダミンDが生成されて

カルシウムの吸収率の向上やら

セロトニンが分泌されてストレス緩和やら言われていますしね。

良いことづくめなのですよ(^^)♪

だから日照時間が少ない冬の方が夏に比べて

うつ病などの精神疾患が多いのだとか…



まぁ、冬は陰の季節ですからね。



ただ…

昨今は紫外線量が異常になってきているとも言われています。

日焼け止めの活用や、直射日光の浴びすぎ…

ということには十分に気をつけてお過ごしください。


何事も適度。

過剰になりすぎるとむしろ臓腑にまで影響しますので…。


…と自分にも言い聞かせたところで


今回は筆を起きたいと思います。笑


ちゃんと日焼け止めを必携します!!

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鍼灸 縁庵

住所:大阪府茨木市永代町6-19 近藤ビル402

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