五臓六腑〜膀胱の腑〜

query_builder 2023/10/04
茨木_鍼灸東洋医学
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東洋医学の蔵象学と、西洋医学の内臓学の考え方の違いについて…

現在は六腑シリーズ。

これまで『胆』『小腸』『胃』『大腸』の4つの腑について綴りました。


五臓六腑〜胆の腑〜

五臓六腑〜小腸の腑〜

五臓六腑〜胃の腑〜

五臓六腑〜大腸の腑〜


そしてようやく大詰め!?

今回は膀胱の腑について綴っていきます。


膀胱といえば、泌尿器ですよね。

尿を溜め込んで、排尿に関与する臓器です。

もちろん東洋医学でもそのような考えはあります。


しかしやはり、それだけではなく…

これはまた特有の考えがあって面白いと思います。


では、いきましょう…。



【膀胱の腑 西洋医学の視点と東洋医学の視点】

現代医学的には膀胱は、

・腎臓から送られてくる尿を一時的に溜めておく

という働きをしてくれています。

通常はおよそ1時間で60mlほどの尿が

腎臓から送られてくるようで

膀胱の容積の4/5が貯蔵されると、

大脳にサインが送られて尿意を感じる…

といった仕組みになっています。


まぁ、誰もが知っている働きですね。


東洋医学では…

黄帝内経・素問ー霊蘭秘典論篇

「膀胱者.州都之官.津液藏焉.氣化則能出矣.」

と、いつものやつですが…

この「州」は川の中州を意味していて、その都…

つまり水が溜まる場所、というのを見事に表現しています。


そして津液を蔵す、と。

津液っていうのは身体内の血液以外の水分を示します。

以前にもブログに綴っています。


津液(しんえき)〜東洋医学で視る体液の役目〜 


そして気化してよく出るんだ、と。


この気化というのは気の作用の一種です。

体内では精・気・血・津液が

液体化したり、気化したりして

相互変化し続け、代謝しているのですが…

気化なので血や津液が無形エネルギーの

気に変化することをいってます。


膀胱は腎の臓と表裏関係にあるのですが…

特に腎の陽気気化させる力が強いです

(腎の陽気を”命門の火”と言ったりもします)。


これにより、よく出る…と。

何が?

そう、尿のことですね。


ここで昔に描かれていた

膀胱の絵を見ていただきたいのですが…



図ー類経図翼より



穴がね、下にしかなくて、

風船みたいな形をしていますね。


現代医学では腎臓から出た尿は

尿管を通って膀胱へ輸送され、

膀胱で尿を溜めて排泄する…


というのが現代での一般的な考えです。

もちろん、そうなのですけれども…。


昔はそこまで緻密な解剖が行われていなかったので

各臓腑は機能を中心にシンボライズされて表されていました。


東洋医学では先ほども述べた

腎の臓の気化作用が関与してきます。


気化作用により膀胱の腑に染み渡っていき、

尿が溜まっていく…

だから図のように排泄する

尿道口しか描かれていないのですね。


高齢の方の夜間尿が増えるのも、

腎の臓の働きが弱まって、

気化作用による調節が

上手くいかずに起こるものだと考えられます。


因みに、子供のオネショは

まだ腎の機能が未成熟なために

膀胱の引き締める作用(気の固摂作用)が

弱い為だと考えられます。



【膀胱がカゼ引きと関与する!?】

他のところでもやってきたのでここでも経絡の話を…。

膀胱の腑が所属する経絡は、『足太陽膀胱経』と言います。



足太陽膀胱経はめっちゃツボの数が多いので…

少し見づらいですが…笑


目の内眦(うちまなじり)から始まって、頭に上って、

後頭部を経て、後頚部、背部を下っていきます。

臀部、大腿後面、下腿後面を下り、

外踝(外くるぶし)の裏を通って、足の小指に至ります。

途中で幾つかに枝分かれして、

膀胱や腎、心の臓にも連絡します。


と…大雑把にいうとこのように経絡は流れています。


こうすると身体の後面を

走行していることがわかるかと思います。


また、この後面に流れている…

というのが重要なのです。


膀胱経上に風門肺兪というツボがあります。

まさにこの辺りから、

風邪(ふうじゃ)という邪気が入ってきます。


字の如く、カゼ症状の大元になるやつですね。

風邪はしばしば別の邪気とくっついて

侵襲することが多く、特に寒邪(かんじゃ)、

いわゆる”冷え”と一緒に攻めてくることが多いです。


寒さを感じた時…

首元がゾクっとしたり、ヒヤッと感じたり…

すること、ありますよね?


あれ、まさに風寒邪に侵襲されている状態です。


いわゆるカゼ症状の初期段階を、

東洋医学の古典である『傷寒論(しょうかんろん)』では

太陽病と名付けられています。

傷寒論に記載された太陽病の症状は以下の通り…

「太陽之為病.脈浮.頭項強痛而悪寒.」

→太陽の病は脈が浮き、

 頭や首元が強張るように痛み、

 悪寒を伴いますよ〜


 と記載してあります。


だからしばしば私は脈を診て…

「最近、肩首こり強くないですか?」

「なんかカゼっぽくないですか?」

と、聞くことがあるんですね。


もちろん、脈が浮いている=カゼ、とは限りませんが、

選択肢の一つとして考えられるわけです。


こうやって身体の反応を丁寧に診て、尋ねて…

Yes or No と答えてもらう中で

どんどんと的を絞っていき、

症状との兼ね合いで今、マッチするであろう

ツボを選択するわけですね。


まぁ稀に「何も食べてない」と言い張るものの…

「いや、絶対食べているやん…」

と思いつつ処置をして、

「先生、鍼している間に思い出したんですけど…」

というパターンもあります。お見通しです。笑


話はそれましたが…

風寒邪を感受する≒冷えの影響を受ける、

と考えていただいてもいいのですが…

細菌性のものが多い膀胱炎ですが、

こういった冷えが影響していることもあるのですよ。


西洋医学ではなかなか言わない…

東洋医学の面白い面だと思います。


最近では、やっと秋らしさだ出てきて

朝・晩が少しひんやりとするようになりましたね。


このタイミングで体調不良を訴える人が多くなってきております。

まさに季節の変わり目ですね〜。

身体が追いついていってないのでしょうね…。


少しでも怪しい、と思ったら

早め、早めにいらしてくださいね!!


もうお分かりだとは思いますが…


鍼はカゼ症状にも、

ウイルス性・細菌性の症状にも有効なのです…!


また、冷えによる急性腰痛…ギックリ腰なんかも

これからの季節、増えてくると思います。

腰は…足太陽膀胱経上ですよね。

それに、膀胱と表裏関係にある腎。

「腰は腎の府」(腰は腎の収まるところ)とも言われます。

やはり関連性が深いことを示唆しております。


肌寒くなりだすこれからの時季…



火の用心ならぬ、


冷え用心!!!


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鍼灸 縁庵

住所:大阪府茨木市永代町6-19 近藤ビル402

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