【春の頭痛】原因と対策|東洋医学・現代医学の視点から解説

query_builder 2025/04/07
茨木_鍼灸東洋医学自律神経体質改善
頭痛 イラスト

【春に頭痛を訴える人が多い理由】

「最近、頭がズーンと重い…」

「目の奥がじわじわ痛む…」
そんな声が、春になると特に多くなってきます。

実際、私の鍼灸院でも

3月ごろからそのような症状を訴える方が増えてきました。

気圧の変化、寒暖差、

そしてストレスや自立神経の問題…

原因として言われることは様々で
「いつもの頭痛だし」と見過ごされがちですが、


実はこの頭痛、

西洋医学でも東洋医学でも、奥深いテーマなのです。

今回は「春の頭痛」について、

現代医学と東洋医学それぞれの視点から、
原因・分類・対処法までをわかりやすくまとめてみました。

ぜひ、日々のケアの参考にされてください。


【頭痛を現代医学でひも解く】

頭痛は大きく「一次性頭痛」と「二次性頭痛」に分類されます。

まずはその解説からしていきます。


  • 一次性頭痛(慢性・繰り返し型)
    脳や血管などに明確な異常がないのに起こるもの。
    《代表例》

    緊張型頭痛長時間のデスクワークやストレスによって、首や肩まわりの筋肉が緊張し、血流が悪化して起こる。
    片頭痛(偏頭痛)ズキズキとした拍動性の痛み。脳内の血管が拡張することが関係しており、音や光に敏感になる、吐き気を伴うことも。
    群発頭痛一定期間に集中して激しい痛みが起こる。目の奥をえぐられるような痛みと表現されることが多い。自律神経の異常が関与しているといわれている。

  • 二次性頭痛(病気に伴う頭痛)出血、脳腫瘍、髄膜炎など、命に関わる疾患が原因の場合のもの。突然の激痛、意識障害、発熱などを伴う場合は要注意。


見てのとおりですが、二次性頭痛は本当に要注意です。

命にかかわりますので一刻も早く病院へ行きましょう。

悠長に鍼灸院とか行ってる場合じゃないやつですね。

命に支障をきたします。


鍼灸の適応になるのは前者の一次性頭痛の方です。

その中でも上記のように分類があるわけですね。

特に頭痛持ちの方は、それぞれの名前を

聞いたことはあるかと思います。


【治療選択】

  1. 鎮痛薬(NSAIDs、アセトアミノフェンなど)
  2. トリプタン系薬剤(片頭痛に特化)
  3. 筋弛緩薬、抗うつ薬(緊張型頭痛)
  4. 生活習慣の見直しストレスマネジメント
    → 運動、睡眠、栄養バランスなどの調整

基本的には投薬が第一選択となります。

(漢方が処方される場合がありますが…ここでは西洋薬のみ紹介します)


に関しては皆さまがよく飲まれている

ロキソニンイブなどです。

これらは頭痛の「痛みの原因物質」を抑えて、

痛みを和らげる薬です。

風邪や生理痛にも使われることが多く、

市販もされているので一般的に手に入りやすいのが特徴です。

イミグランゾーミッグレルパックスなど。

片頭痛特有の「血管拡張」を抑え、神経の興奮を落ち着かせる薬です。

片頭痛が始まったときに早めに飲むことで、効果を発揮します。


テルネリン(筋弛緩薬)、トリプタノール(抗うつ薬)などが該当します。

緊張型頭痛の「肩こりや首こりなどの筋肉のこわばり」や

「ストレス・自律神経の乱れ」を和らげます。

慢性的な頭痛に処方されることが多く、

即効性よりも継続的な予防・改善が目的とされます。


は頭痛の原因であろうと考えられるリスクを

極力減らしましょう、という予防ですね。

難しいこともあるかと思いますが…

対処療法ではなく、根本治療を目指すなら

ここが私は重要だと思っています。


原因不明、と言われることも多い頭痛ですが…


原因がなけりゃ発生することもありません。


当たり前のようで、見落とされがちなのですよね。


それを見つけるために、東洋医学的に考えることが

ヒントになるかもしれない、と思っています。


【東洋医学から見る春の頭痛】

東洋医学では、頭痛は「内因(感情・体質)」によるもの

「外因(身体に影響を与える自然界の邪気)」によるものとの

2つにまずは大別されます。

内的要因か、外的要因か、ですね。

内的要因のものは裏証(病の位置が表証に対して深い)、

外的要因のものは表証(病の位置が裏証に対して浅い

ともいいます。


まずは内的要因(裏証)からみていきます。


【主に関係する臓腑】
内的要因の場合、感情や体質の問題が
各臓腑の機能を低下及び過剰に働くことによって
機構を狂わせ、異常を発生させます。

主に外的要因が関与しないもの、これらを裏証といいます。
頭痛の場合の関与しやすい臓腑・パターンを以下に挙げます。


  • 気血の巡りに関与。肝はストレスや怒りの影響を受けやすく、精神的な過労により
    肝気鬱結・肝陽上亢となると、頭部に熱が昇って痛む(こめかみ付近から頭頂部にかけてズキズキ痛む緊張型頭痛や片頭痛など)場合が多いです。

  • 飲食の不摂や思い悩みにより、脾の機能が失調することで体内の水湿の処理が上手くいかず、湿邪が停滞し、重だるいあるいはボーッとするような頭痛になります。
    この場合、外部の湿気の影響も受けやすくなるので雨天時など湿度が高い時に悪化しやすいのが特徴的です。
    面白いことに排便により湿を追い出すことで緩解する場合もあります。

  • 生命力の源である臓です。加齢・疲労によって腎精が消耗すると、頭に栄養が届かず、慢性的な虚性の頭痛に。

    こちらは肝の精神的疲労由来の頭痛と違い、肉体的な疲労由来のものです。

    教科書的には「空虚感のある頭痛」と表現されますが…イメージがつきづらい。笑
    なんとなくぼんやり痛い、ズーンとハッキリしない痛さ…
    に相当するのではないかと思います。程度は比較的軽いですが動くと増悪傾向にあります。

  • 肺が弱ると衛気(体表に流れる身体を防衛する気)を巡らせることができなくなり、外邪の影響を受けやすくなります。侵襲される外邪によって頭痛の質は変化します。
    外邪については次の事項で説明いたします。


【外邪との関係】

特に「風邪(ふうじゃ)」は頭痛の主な外因とされます。

(風邪は「百病の長」といわれ、しばしば他の邪気を引き連れてきます)

「風寒(風邪+寒邪)」「風熱(風邪+熱邪)」「風湿(風邪+湿邪)」

などのように体質や季節などの影響により組み合わせが変わり、

身体に侵襲されることでそれぞれ異なった症状が現れます。

明らかに外的要因が関与しているこれらを表証といいます。

東洋医学では表証を現代医学でいう

「カゼ症候群」と認識する場合が多いです。


  • 風寒邪:寒さや冷風の影響を受け、身体が冷えることで頭痛へとつながる。後頭部~首筋が突っ張るような、あるいは締められるような痛み。温めると楽になることが特徴です。
    一般的な”カゼ引き”の際はこちらが該当する場合が多いように思います。
  • 風熱邪熱邪、熱性のカゼの初期などに頭部がズキズキと比較的強く痛むもの。
    熱性のカゼのため発熱・喉の痛みを伴うことが特徴的です。
    こちらは冷やすことで緩解しやすいです。
  • 風湿邪:『脾』の項目でも記しましたが、外部の湿気の影響を受けるため雨天時など湿度が高い時(梅雨や台風時には特に多い)に症状が出やすく、重だるい・ボーッとするような痛みです。
    天気が回復するか先述したように排便により体内の痰濁(あるいは湿熱)を排出することで緩解することもあります。


【春は「肝」と深い関係がある季節】

臨床上、春先に多いのは、肝の臓の影響からくる

「肝陽上亢(かんようじょうこう)」型

の頭痛が多く見受けられます。


春は五行では「木」にあたり、「肝」が活性化される季節。

気が上部に昇りやすくなり、

それにストレスや疲労が加わることで、

肝気がスムーズに流れなくなり(肝気鬱結)、

頭痛が現れる…というわけですね。


春と肝の臓の関係性は過去に花粉症の記事でも触れています。


花粉症の東洋医学的見解 鍼灸は効くのか?


慢性化しすぎたり、ストレスが酷いと

肝気鬱結がやがて化火して強い頭痛を発生させます。
(気はガスみたいなもので、動きを止めて充満し続けるとやがて爆発するかのように火が起こります)


頑張ることはいいことですが…

気を張り詰めすぎずに程々に発散することが

大事なわけですね。


また、今年は寒暖差が大きく、

そのような日がダラダラと続きました。

これによって風寒邪の影響を受けた頭痛もチラホラと…。


特に一度暖かくなった後、

また寒くなった時が風寒邪の影響を受けやすいです。


まだ朝晩と日中の気温差がありますので…

起床時に「寒っ!」となって目覚めないように

就寝時の服装には注意してあげてくださいね。


【春の頭痛に効くセルフケア・養生】

東洋医学では「病を治す」だけでなく、

「病にならない身体を作る」
=「未病を治す」ことを大切にします。

頭痛のような不調も、「日々の適切な過ごし方(=養生)」

体質整えていくと症状の改善が見込めます。


  • 春に多い「肝陽上亢型」さんへの養生法
    春は「肝」が活性化する季節。
    ですが、活性化しすぎると「気」が昇りやすくなり、
    それが頭痛・めまい・イライラの原因になる場合があります。

    → ポイントは「肝の疏泄(そせつ=流れ)をスムーズに」

    「気を上に昇らせすぎない」ことを目的に、

    ゆったり動くウォーキングやジョギング(目安:30分以上)をゆったりした気持ちで行うことが良いです(せかせかしない!笑)。リズム運動は「肝の気」をうまく流してくれます。

    夜更かし厳禁!肝は夜の時間に“血”を蓄える臓腑。故に睡眠不足は大敵です。

    ・酸味・香りのある食材を取り入れましょう(柑橘類・梅干し・しそ・酢の物など)。酸味は肝の気を伸びやかに整えてくれると言われています。

    ・スマホ・パソコンの見過ぎに注意。
    肝は目を営養しているため、
    目の酷使=肝の疲れに直結します。
     
    また、就寝直前の使用は肝気を高ぶらせて、睡眠の質を落としかねないので就寝30分〜1時間前には使用しないようにしましょう。


どれも難しい!!


という方は(本当は頑張ってほしいですが…笑)、

せめて深呼吸だけでも日常に取り入れてみてください!


【「気」を整えるには、まず“呼吸”から】

緊張状態が強い(肝気が高ぶっている状態)と

自然と呼吸は浅く、速くなっています。


浅く速い呼吸は、

自律神経のバランスを乱しやすく(身体のあらゆる気機の失調)、

頭痛を引き起こす引き金にもなりかねません。


まずは深くゆっくり呼吸する。

これだけで心が落ち着いてくるのを実感できるはずです。

とくに意識してほしいのは「吐く息を長くする」こと。

そして鼻で呼吸しましょう。

(鼻呼吸することは横隔膜を動かす腹式呼吸をしやすいです)


では、


鼻から4秒息を吸って…

鼻から息を8秒吐いてみて下さい。



いかがでしょうか?


呼吸に意識を向けていると、

自然と気持ちが落ち着いてくるはずです。


鍼灸の現場でも、

患者さんにお臍の下4横指辺りにある

「臍下丹田(せいかたんでん)」を意識した腹式呼吸を

導することがありますが、これがまたいいんです。


頭にのぼった“気”を下に降ろしてくれる感覚は、

心身ともに非常にリラックスをもたらします。


うちが脈診する際にお腹の前で合掌するのは、

1つこういった意味合いもあります。


今回は肝陽上亢型の頭痛のアドバイスでしたが…

その他の頭痛タイプのアドバイスも、

また今後していきたいと思います。


共通して、”深呼吸(腹式呼吸)”はいいものですので

これは皆さん、是非今日から取り入れてください。


【まとめ:頭痛の背景を知って対策を】

いかがでしたか?

最近では『頭痛=ストレス』と言われることも多いですが、

それだけでないことがお分かりいただけたでしょうか?


現代医学ではない視点が、また面白いのが東洋医学です。


こっちが正解だ、あっちは間違いだ。


と頭でっかちになるのではなく、

色んな視点を持つことが大事だと思います。


薬で一時的に頭痛が治まったとしても、

ここで綴ったようなものが原因とで、

身体の中で”巡りの悪さ”や”外邪からの影響”がくすぶっているかもしれません。

特に春は、自律神経…

もとい肝気を中心とした気機が揺らぎやすい季節です。


ちょっとした不調でも「がまん」や「気合い」で乗り切るより、

自身の身体の声に耳を傾け、日々の養生で根本から整えていく方が、

結果的に楽になることが多いです。


私自身、「東洋医学っておもしろいな」と思ったきっかけの一つが、

この“身体”と“季節”に関係性でした。


春の頭痛やイライラ…など、もし思い当たることがあれば、

ちょっとだけ呼吸を深くしてみたり、

梅干しをひと粒や、柑橘類を少し食べたり、

軽く運度を始めてみる…などしてみてください。


小さなことでも、「自分の身体を大事にできたな」と思える時間が、

少しずつ、確かな変化につながっていくと思っています。

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鍼灸 縁庵

住所:大阪府茨木市永代町6-19 近藤ビル402

電話番号:090-3890-4915

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